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野村 萬斎 さん

野村 萬斎 さん
のむら・まんさい 1966年、東京都出身。狂言師。人間国宝の祖父・故六世野村万蔵と父・万作に師事し、3歳のとき「靭(うつぼ)猿(さる)」で初舞台を踏む。狂言師の活動のほか、02年、世田谷パブリックシアターの芸術監督に就任。また、連続テレビ小説「あぐり」(97)に出演して以降、様々な映像作品でも活躍。主な映画作品に『乱』(85)、『陰陽師』シリーズ(01・03)、『のぼうの城』(12)、近作では初めて現代劇に挑戦した『スキャナ― 記憶のカケラをよむ男』(16)など。

生きのいい花から見応えのある花、そして、遠くに見える"究極の花"を目指す。

狂言師としての活動にとどまらず、
映画やドラマ、ギリシャ悲劇まで幅広く挑戦し、
新たな道を切りひらいてきた野村萬斎さん。
映画『花戦さ(はないくさ)』では華道の池坊専好に。
狂言と同じく、伝統を受け継ぐ花人への思いから、
舞台での花の咲かせ方まで、お話を伺いました。

 映画『花戦さ』で、花の持つ力によって人の心が開くと信じる天真爛漫(らんまん)な花僧を演じた野村萬斎さん。撮影中はよく泣いたという。
「花にはウソがないから、人間もそうだと思っている。少年がそのまま大人になったような純粋で感情の起伏が激しい人物だったので、僕もずっとハイテンションだった。役柄としては新鮮でしたけど、終わった後はどっと疲れました(笑)」と、冷静な視点で撮影当時を振り返る。

 一方、型を重んじる狂言の世界では計算しつくした演技が求められるが、観客を惹(ひ)きつける役者の個性=舞台に咲く花は年齢によって変化するという。
「若いうちは青臭いけれど生きがよく、中堅になると充実感があり、満開の桜のように見応えがある。しかし、究極は老木の花。花の数は少なくとも、力みがなくなり、型どおり"する"のではなく"せぬ"表現に人は吸い込まれるのです。狂言界では40代、50代は『洟垂(はなた)れ小僧』。父のように型を感じさせない"珍しき花"に達するのは、遠い先の話ですね」

 今回は同じ様式美を根源とする華道家の役柄だが、生け花は未経験とのこと。
「ただ、祖母がそれこそ池坊の先生をしていたので、小さい頃から花は身近な存在でした。僕が好きなのは香る花。いい香りに囲まれ、季節や風を感じたくて、庭には沈丁花(じんちょうげ)と金木犀(きんもくせい)を植えています。自分を花にたとえると? 白いものが好きなのと、姿勢がいいので、ユリっぽい感じがしなくもないですが、どうでしょう」

 多忙な中でも映画やドラマに出演することは楽しみでもあり、研さんの場でもあると萬斎さん。さて、次はどんな花を私たちに見せてくれるのだろうか。

文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2017年5月)
スタイリスト:中川原寛(CaNN)
ヘアメイク:奥山信次(barrel)

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『花戦さ』

『花戦さ』

あまたの戦に勝ち続け、ついに天下は豊臣秀吉の手によって統一された。しかし、それから4年、秀吉の権力が栄華を極めたまさにそのとき、大敗を喫し、歴史の闇に葬られた大戦があった!? 暴君・秀吉に"花"で挑んだけったいな男の大仕掛け。刃ではなく花で戦った一人の花僧※・池坊専好の奇想天外な戦法を描く。
※花僧...仏に花を供えることで、世の安寧を祈り、人々の心を救う僧侶のこと。彼らから日本の伝統文化「いけばな」が成立していく。

●出演:野村萬斎、市川猿之助、中井貴一、佐々木蔵之介、佐藤浩市 ほか
●原作:鬼塚忠「花戦さ」(角川文庫刊)
●監督:篠原哲雄
●脚本:森下佳子
●音楽:久石譲
●2017年6月3日(土)全国公開


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