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2017.10.27

大人と子どもで違う原因。意外と知らない鼻血のこと

大人と子どもで違う原因。意外と知らない鼻血のこと

誰もが一度は経験したことがある鼻血。空気の乾燥や鼻風邪の増加によって、鼻がデリケートになる冬は特に注意が必要です。実は大人と子どもで出血の原因が変わってくることをご存知ですか? 鼻血の原因や注意すべき症状、鼻血が出た場合の正しい応急処置の方法などを解説します。

鼻血のしくみ

古代ギリシアの医師・ヒポクラテスの時代、「鼻血」は身体の中の悪い体液が、鼻を通じて排泄されるものと考えられていたそうですが、現在は異なります。鼻の穴の皮膚と粘膜が移り変わるところに、「キーゼルバッハ(Kiesselbach)部位」という細く小さな血管が集まる部分があります(図1)。鼻血の多くは、空気の乾燥や鼻炎などで鼻の粘膜が弱くなって傷つき、この細く小さな血管が破れて起こるものです。

※図1:鼻腔への血管分布
鼻腔への血管分布

鼻血の原因

原因はさまざまですが、症状は10代以下と60代以上に多い傾向があります(表1)。子どもの場合は季節とはあまり関わりなく起こりますが(表2)、大人は乾燥する季節(12月頃)や、気温の変化の大きい季節(3~4月頃)に起こりやすいです(表3)。

表1:年齢・性別ごとの発症数表1:年齢・性別ごとの発症数

表2:月ごとの発症数(12歳以下)表2:月ごとの発症数(12歳以下)

表3:月ごとの発症数(50歳以上)表3:月ごとの発症数(50歳以上)

子どもにとっての原因の多くは鼻炎や湿疹、鼻をいじる癖や外傷、夏場ののぼせなどであり、鼻の粘膜が弱っている状態で起こります。一方、大人は高血圧糖尿病、肝臓の病気、血栓症などの治療に使われる血液の固まりを抑える薬(ワルファリン)や、血小板のはたらきを抑える薬(アスピリン)などの内服、妊娠や月経、鼻の中にできた腫瘍など、血管が破れやすい状態や出血が止まりにくい状態に起因する、鼻以外の全身的な問題です。

注意すべき症状

鼻血の量と時間、頻度に注意が必要です。

注意すべき鼻血の症状
・量:洗面器いっぱいほどの量が出る
・時間:30分以上止まらない
・頻度:すぐに止まるが、数時間後や数日後に何度も繰り返し出血する

「応急処置のポイント」のような鼻血を止める方法をしているにも関わらず、大量に出血する場合や長時間止まらない場合は、動脈からの出血の可能性が高く、専門的な処置を必要とします。また、出血を繰り返す場合は血が止まりにくい状態(全身的な問題)や、鼻の中にできもの(良性や悪性の腫瘍)ができている可能性があるため、耳鼻咽喉科医の診察を受けることをお勧めします。

応急処置のポイント

ポイント1

慌てない

子どもでも大人でも血を見ればビックリします。ビックリして慌てると血圧が上がり、血が止まりにくくなってしまいます。子どもが泣いているようであれば安心させ、大人でもドキドキして不安ですが、まず深呼吸をして落ち着きましょう。

ポイント2

鼻をしっかりおさえる

肌と一緒に鼻のなかも乾燥予防

基本的に鼻には何も入れず、親指と人差し指で小鼻(鼻の柔らかい部分)を5~10分間はしっかりとつまんでおさえてください。このとき顔は上に向けず、やや下向きにしましょう。ティッシュなどを詰めたときはゆっくりと交換します。

ポイント3

座った姿勢で安静にする

しっかりおさえているあいだは横にならずに、座った姿勢でいましょう。横になると血液が喉に落ちて気持ちが悪くなってしまいます。また、その際にせきこんで血液を見てしまうと血圧が上がり、出血が止まりにくくなるので注意しましょう。

 

肌と一緒に鼻の中も乾燥予防

肌と一緒に鼻のなかも乾燥予防暖房の入る季節は、肌の乾燥はもちろん、鼻の中も乾燥します。乾燥するとかさぶたがつき、粘膜の炎症を起こしやすくなります。肌とともに保湿を心掛けましょう。具体的には、ワセリン(市販されているもので構いません)を鼻の入口に塗り保湿してください。さらに、夜間も暖房が必要な季節は、マスク(不織布でなく、ガーゼマスクの方が効果的)をつけて保湿してみてください。
鼻血は出ないけれど喉がイガイガしやすい、朝起きると喉や口が乾燥しているという方は、鼻を出して口を覆うようにマスクを使用するといいでしょう。病院や施設などに入院・入所する方も、ぜひワセリンやマスクで乾燥予防をしてください。

最後に、このコラム作成にあたり、鼻出血の貴重なデータの使用を快く許可していただいた新潟市 空港前クリニックの川﨑 克先生に深謝いたします。

花澤 秀行

解説:花澤 秀行

済生会新潟第二病院
耳鼻咽喉科部長

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