社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2017.10.11

乳房外パジェット病

Extramammary Paget Disease

解説:岡林 綾 (大阪府済生会富田林病院 皮膚科医長)

乳房外パジェット病はこんな病気

皮膚のアポクリン腺という汗腺(汗を作る組織)の細胞ががん化したものだと考えられています。乳がんの一種で「乳房パジェット病」という病気があり、見ためがよく似ているため、「乳房外パジェット病」という名前がついています。多くは外陰部や肛門周囲に発生しますが、腋やへその周りにもできることがあります。高齢の方によく発生し、ゆっくりと進行する場合が多く、転移を起こすことが少ない皮膚がんです。

腫瘍は、平らな赤いじゅくじゅくしたしみとして発生することが多く、周囲が茶色くなる場合もあります。腫瘍の境界はわかりにくく、かゆみがあることもあります。外陰部に赤い「湿疹」のようなものができて、なかなか治らないと思っていたら、だんだん大きくなり、乳房外パジェット病だったということがあります。デリケートな部分にできるので、恥ずかしくてなかなか受診できなかった、という患者さんが多いです。

最初は平らな赤いしみだったものが、進行すると盛り上がってできものになっていきます。さらに進行すると、所属リンパ節(腫瘍の近くのリンパ節、多くは足の付け根にある鼠径リンパ節)に転移します。さらに進むと、肺などに遠隔転移を起こします。

手術が主な治療になり、しみ・できものから1~2cmほど離して、切り取ります。病変の範囲が広く、切り取った後に縫い合わせられない場合は、皮膚を植える「植皮術」や、周りの皮膚を寄せてくる「皮弁術」で傷を閉じます。体調などで手術が難しいときは、放射線療法をすることもあります。

所属リンパ節に転移した場合は、リンパ節を切除します。肺などに遠隔転移をした場合には、抗がん剤治療が必要です。

早期発見のポイント

外陰部に治りにくい「湿疹」があるときには、乳房外パジェット病の可能性があるので、皮膚科を受診してください。病気のはじめの頃は、皮膚科医が見ても診断に悩む場合が多いため、患部を一部切り取って顕微鏡で検査する「皮膚生検」が必要です。デリケートゾーンにできるので、受診するのをためらってしまうと思いますが、勇気をだして皮膚科を受診しましょう。

乳房外パジェット病は高齢の方に多く発生します。介護を受けている方に発生することもしばしばあるため、介護者の方に病気を知ってもらうことが、早期の発見につながります。オムツを替えるときに「なんだか変なしみだな」「治りにくい湿疹だな」と感じた際には、一度皮膚科を受診するよう、勧めてあげてください。

予防の基礎知識

予防できる方法はまだ知られていません。早期発見に努めることが、一番大事です。気になるしみや湿疹などができ、なかなか治らない場合は一度皮膚科を受診してみましょう。

岡林 綾

解説:岡林 綾
大阪府済生会富田林病院
皮膚科医長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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