1-全体編 法人活動編
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97次の10年に向けた課題検討会の設置 済生会は、第四次基本問題委員会報告に基づき、生活困窮者に対する支援、地域医療の推進、総合的な医療・福祉サービスの提供を3本柱として10年間、事業を実施してきた。さらに新型コロナ感染症に対しては率先して患者を受け入れて地域医療を支えるとともに、ソーシャルインクルージョンの理念に基づくまちづくりの取り組みを開始している。 一方、今後、グローバル化による新たな感染症が発生する危険の常在化、少子超高齢社会の到来による高齢患者や要介護者の急増、経済の低迷や社会の分断等による生活困窮者の増大、地球温暖化の進行による甚大な災害の頻発等が懸念される。これらは全国どの地域でも発生しうる問題だが、本会は47都道府県のうち7県に支部がなく、全国規模で事業を展開できないという一種のジレンマを抱えていた。 「社会の最終ラインを守る」活動を行ってきた済生会は、これら、これから全国で起こりうる諸課題に対しても中心的な役割を果たしていくことが使命と考え、同報告に続く10年間の長期事業計画の策定に当たり、次の3点を重点目標として加えることとした。 ▪全国で事業を展開し、住民が必要とする医療、福祉、生活の各般にわたるサービスを提供し、地域を支える ▪公的医療機関として基幹病院及び地域密着型病院の役割を担う ▪人の結びつきを強化するため、ソーシャルインクルージョンの理念に基づくまちづくりを推進する この計画を審議するため済生会内外の有識者14人で構成する「支部未設置県解消等済生会の基本的あり方に関する検討会」を令和3年7月12日設置。委員長には全国済生会病院長会長の園田孝志会長(唐津病院院長)が就任した。 これらの実行に当たっては、人的・財政的な問題のほか7県に支部が未設置、設置されている40都道府県でも医療・福祉の体制が必ずしも十分ではなく、貧困家庭の子どもの問題など新しく発生しているニーズへの対応が整っていないことなど解決すべき課題があることから、検討会では次の事項を重点的に論議していくこととした。 ①済生会の今後の基本的あり方として、済生会の理念・使命の確認、社会の変化に応じた今後の済生会事業の方向等

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