1-全体編 法人活動編
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18ご説明した。眞子、佳子両内親王殿下も別室のモニターで参加された。秋篠宮皇嗣殿下は説明を受けられた後、済生会職員と全国の医療従事者に向け、次のメッセージを賜った。おことばとしては異例の長文で、世界及び日本を覆いつくした新型コロナウイルス感染症への憂慮と最前線で闘う医療従事者へのねぎらいが強く感じられるものだった。秋篠宮皇嗣殿下の全国の医療者と職員へのおことば 日本において、最初にCOVID-19が「原因不明の肺炎」として報道されたのは、2019年の暮れも押し詰まった12月31日でした。そのころは、この肺炎には名称もなく、また新種のコロナウイルスによって引き起こされる疾病であることもわかっておりませんでした。それから暫しばらくの間、私たち日本人にとってこの疾病は、エボラ出血熱などと同じように、海外の一地域で起こっていることと認識されていたのではないでしょうか。それが、年が明けた1月15日には日本で最初の感染者が確認され、その後徐々に感染が広がり、3月末からは感染者数が指数関数的に増加しました。また重症化や重篤化、そして死亡者の事例が連日報告されるにいたり、人々のもつ危機意識は相当高まってきました。 この一連の流れのなかで、2月13日に和歌山県済生会有田病院の医師がCOVID-19に感染をしたとのニュースが流れました。私はそのとき、あるフォーラムに出席をするために岩手県に滞在中でした。この時期は国内の感染者数も未いまだ少なく、私自身、今ひとつこの感染症に対する認識が低かったのですが、滞在先で有田病院のことを報道で知り、俄にわかに身近なものになったことを覚えております。その有田病院は、最初の一報以降に医師や入院患者およびその家族が複数感染していることがわかりましたが、和歌山県と密に連携しつつ感染拡大防止の対応につとめ、院内の完全クリーン化がなされました。そして、3月4日からは通常の医療体制へ戻り、地域医療への影響を最小限に食い止めることができました。大阪府の中津病院では、感染の疑いのある患者を含め200人以上の患者を診察しています。その中には、発熱した高齢者がPCR検査で陰性になったものの、医師が症状から感染を疑って入院してもらい、再検査の結果、陽性と分かり、救命につながった例もあったと聞いております。東京都の中央病院附属乳児

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