1-全体編 法人活動編
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30増加する生活困窮者と新たな貧困 生活困窮者問題にも超高齢社会の影響が出始めている。単身高齢者の増加に加え、老後破産の件数も増えたことにより、生活保護受給世帯の半数を高齢者が占める事態となっている。また、親が80代、子どもが未就労の50代で生活が困窮する「8050問題」に直面する家庭も増えており、中高年層の引きこもり問題から生活困窮者へとシフトするケースが表面化している。第1章 事業の発展と展開第1節 医療・介護を取り巻く社会環境の変化少子超高齢社会の到来 我が国では、2025年には国民の4人に1人が75歳以上という少子超高齢社会に突入すると言われている。それまでに、国民一人一人が、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続し、その地域で人生の最期を迎えることができる環境を整備していくことが喫緊の課題とされていた。 そこで、平成26年6月、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療・介護総合確保促進法)」が成立し、我が国の医療、介護は、地域包括ケア社会の実現に向けて、大きくかじを切ることとなった。 医療の面においては、平成26年から病床機能報告が始まり、各病院の診療機能は可視化されることとなった。その報告内容を基に国は全国の公立・公的病院のうち、400超の病院を再編統合対象病院としてリストアップし、これを受けて各都道府県は医療圏ごとの診療機能の再編に向けた議論を地域医療構想調整会議で行うこととなった。 介護の面においては、高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、在宅医療、介護連携などの地域支援事業(介護保険財源で市町村が取り組む事業)の充実を図り、地域の包括的な支援・サービス提供体制を構築することとなった。特に介護予防を充実させることとしているが、ボランティアや地域住民による互助が必要であり、地域のネットワークの構築が重要であるとしている。

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