1-全体編 法人活動編
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39 本会は地域医療構想の趣旨に賛同し、公立病院の譲り受け、地域ニーズに応じた急性期病床の削減・機能転換などを行って積極的に協力してきたが、実名公表およびその手法には大きな問題があるとして、厚生労働省に以下6点について意見を申し入れた。①公的医療機関と公立病院の違いについて 地域医療構想においては、済生会、日赤、厚生連等の公的医療機関と、税金に支えられた公立病院とは、その運営形態に鑑みそれぞれを別個に議論すべきである。 公的病院は他の民間病院と同様、独立採算を原則としており、運営に際する赤字補塡や建て替え等の大規模な施設整備は、銀行等からの借入金に頼っている。税制優遇措置を受けてはいるが、これは本会が社会福祉法人であることや法に基づく無料低額診療事業の実施等によるものであり、他の社会福祉法人と基本的に同様である。 こうしたことから、地域医療構想によって医療機能の変更・制約を受けると、経営に大きな影響を及ぼすだけでなく、施設の存亡にも関わることとなり、もし施設を廃止せざるを得ない場合は、地域医療に重大な支障を与えるとともに、膨大な負債処理が必要となり、その額によっては法人の存立基盤を脅かす恐れもある。②再検証対象医療機関の実名公表等について 今般の実名公表に際して使用されたデータは、十分な検証がされておらず、そのことによる誤解や混乱により、公表された病院では患者や職員の動揺、採用内定者の辞退等の実害がもたらされている。こうしたことは事前に十分に予測できたにもかかわらず、敢あえて実名を公表したことは誠に遺憾である。 厚生労働省は実名公表によって生じている誤解を解くべく、国民やメディアに対する徹底した説明が必要である。③再検証対象医療機関の選定基準・公表等の問題点について◦診療実績を平成29年6月の1カ月間という極めて短期間のデータで評価したこと。◦診療機能等は2年以上前の古いデータを使用しており、この2年間で地域医療構想の趣旨に沿ってダウンサイジングや回復期、慢性期への機能転換等を進めてきた病院についても、再編すべき急性期病院と区別せずに実名公表されたこと。

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