1-全体編 法人活動編
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43第4節 なでしこプランから独自の地域包括ケアシステムへ特記すべき事業 済生会生活困窮者支援事業「なでしこプラン」は、社会福祉法に基づく無料低額診療事業の対象者のみならず、医療・福祉サービスにアクセスできない多くの人々を支援する事業である。本会創立の理念である「施薬救療」(無料診療)に立ち返り、いわば制度の網からこぼれた困窮者への支援を目指すもので、平成22年度から3カ年計画としてスタートした。 支援はホームレス、DV被害者、障害者・独居高齢者、刑務所出所者、在留外国人、母子児童など経済面だけでなく、広く生活全般に困窮している人が対象で、本会支部・施設の職員が積極的に施設の外に出て巡回診療、健康診断・医療相談等を行う。社会福祉協議会や各自治体、更生保護施設、NPO法人やボランティア団体、マスコミ等とも連携する、会を挙げての大規模な事業となった。 大阪府済生会と管下8病院の釜ヶ崎地区健診事業は代表的事業の一つ。NPO法人・釜ヶ崎支援機構と協働し、平成21年から日雇い労働者に健診と保健指導を行い、治療が必要な場合は病院等に紹介している。福岡総合病院が平成23年から毎月ホームレスを対象に公園等を巡回して行う健康相談や年1回のインフルエンザ無料接種、神奈川・平塚病院(現湘南平塚病院)は平塚市と連携し砂防林や河川敷などでホームレス巡回健診を行っている。 石川・金沢病院は、学校を卒業すると医療的ケアを受ける機会が少なくなる障害者の施設へ出向き、リハビリ指導・フットケアや健康相談を続けている。熊本県済生会は、障害者に病院のレストランやパン売り場での接客、院内清掃等で働く機会を提供している。兵庫・特養ふじの里は平成23年4月、URの大団地に相談窓口を開設。独居高齢者を主な対象に訪問・相談・見守り活動を展開し、また団地カフェを開くなど地域のコミュニティーづくりも推進している。三重・松阪総合病院は過疎地域を訪問し、住民の健診・健康相談を行っている。各年度の実績は次のとおり。(人数は支援延べ数) 初年度の平成22年度:病院のない宮城、長野を除く38支部189事業95,333人▽23年度:243事業113,101人▽24年度:264事業107,773人

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