1-全体編 法人活動編
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65形済生病院に「現地連絡事務所」(所長・濱崎允院長)を設置し、全国10病院のDMAT(災害派遣医療チーム)60人が各地に派遣された。その後、48病院から延べ426人の医師・看護師らを派遣したほか、高齢者福祉施設等35施設で高齢の被災者を受け入れた。以降、数年にわたり、大阪府済生会の病院から医療ソーシャルワーカー(MSW)が交代で東北の被災地に赴いたほか、個人ボランティアとして多数の「済生会人」がさまざまなかたちで支援活動を続けた。 また、直後から総裁・寬仁親王殿下をはじめ全役職員を対象に義援金を募り、集まった8539万5462円を5月12、13日、岩手、宮城、福島の3県に分けて寄贈した。 さらに9月5日、東日本大震災復興特別委員会(委員長・三浦將司福井県済生会病院長)を設置し、済生会独自の復興支援策の検討に入った。宮城県で高齢者施設の新設など幾つかの案を検討し、最終的に岩手県陸前高田市に復興支援のため診療所を新設することとした。これは、同市出身の〈茨城〉常陸大宮済生会病院の伊東紘一名誉院長の親族から用地寄贈の申し出があり、同氏も診療所長として赴く用意があることから決まった。建設費には初めて高松宮記念基金の一部を取り崩して充てることとなった。 診療所建設用地は元田んぼで津波被害も受けていたことから整地に時間がかかり、開業は平成28年度となった。しかし、現地では医療機関が不足していたことからニーズは強く、平成27年10月、地元のスーパーマーケットの倉庫を借りて改装し、前倒しして仮設診療所を開設。本設の済生会陸前高田診療所は平成29年2月15日にオープンし、本会の復興支援のシンボル的存在となっている。熊本地震 「平成28(2016)年熊本地震」は、熊本地方を震源として4月14日21時26分に前震、16日1時25分に本震が発生した。同地点で震度7の地震を2度観測するのは史上初めてのことだった。 熊本県済生会には、熊本市南区の熊本病院、宇城市のみすみ病院、熊本市内で複数の事業所のある熊本福祉センターがある。前震の14日夜、被害状況を速やかに整理した結果、各施設とも壁や水道管の破損、一時的な断水があったものの、入院患者や職員に大きな被害はな

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