1-全体編 法人活動編
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67 同町中心部にある岩泉病院と特別養護老人ホーム百楽苑は建物や入院患者・入所者に被害はなかったが、一夜明けても停電と断水、外部からの物流の復旧のめどは立たず、自宅が被災して出勤できない職員も多く、人員不足に陥った。 岩泉病院の入院患者は、現地で指揮を執るDMATの判断によりヘリコプターで搬送されることとなった。透析患者を優先して段階的に搬送を繰り返し、9月2日にはほぼすべての入院患者の搬送が完了した。一方、百楽苑は、近隣の高齢者施設が被災したため、その入居者の緊急受け入れの要請を受けた。限られた職員数で定員をゆうに超える高齢者に対応する必要が生じ、これを支援するために東北・北海道ブロック、関東ブロックからDCATが派遣された。9月5日から27日までの23日間、12施設から延べ41人が支援をつないだ。西日本豪雨 平成30年6月末から7月上旬にかけて、西日本の広い範囲で集中豪雨が発生した。「平成30(2018)年7月豪雨」と名付けられ、岡山県、広島県、愛媛県などで河川の氾濫や浸水被害、土砂災害を引き起こした。 広島県済生会は呉市に呉病院、広島市に隣接する安芸郡坂町に広島病院と広島福祉総合センターがある。呉病院は断水で水が枯渇。広島福祉総合センターの特別養護老人ホームたかね荘こやうらは、施設に通じる道路が冠水して孤立状態となった。これらの施設から物資支援の要請があり、7月8日16時30分、済生会本部に災害対策本部を設置。中四国ブロックの他の病院から呉病院とたかね荘こやうらに飲料水や食料等が搬送された。 断水や交通網のまひが長期化する中、多くの職員が通勤困難に陥り、職員の疲弊が重なった。そのため、物資の搬送に加え広島病院に看護師を派遣、介護老人保健施設はまな荘とたかね荘こやうらにはDCATを派遣した。広島病院には8月1日から9月2日までの33日間、11病院から48人が、はまな荘とたかね荘こやうらには7月17日から8月6日まで21日間、9施設から20人が派遣された。

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