1-全体編 法人活動編
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74内に共同治験事務局を設置し、法人として取り組みを推進するため、施設運営委員会の中に平成22年9月、共同治験推進専門小委員会が設けられた。 治験は各施設における大きな財源の一つでもあり、病院経営に資する重要な事業と位置づけられる。さらに患者に最先端医療を受ける機会を提供できることや、医師はじめ病院職員全体の研究推進に寄与できることの意義は大きい。案件を複数施設が受託することにより企業側の費用を軽減することができることなど、済生会をネットワーク化した取り組みについては、企業からも一定の評価を得ている。 また、施設側も本部中央治験審査委員会(IRB)の活用により、自院での事務作業が軽減できること、また自院にIRBを設置しなくても治験への参加が可能であることなどのメリットがある。 共同治験により社会に周知されることで、済生会全体のブランド力の強化にもつながる。共同治験による収益は、組織横断研究活動等の資金として還元され、済生会全体の研究推進を支援している。実績 当会全体の治験実施施設の受託案件数は、国内治験数に準じた推移であり、共同治験の実績も創設からこれまでほぼ一定に推移している。しかし、創設当時は済生会の得意分野である生活習慣病治療薬等の開発が多数実施されていたが、近年は抗がん剤開発が多くを占める状況となっている。また、企業の開発費抑制やグローバル企業の台頭により、日本人での治験が必ずしも必要とされないケースもあり、案件受託は難しい局面を迎えている。 令和3年12月現在、共同治験のIRB開催は113回、審議プロトコルは97本、治験実施可否(初回審査)の依頼は延べ159件だった。また、この間に済生会病院が実施した治験で、製造販売承認を受け、社会で活用されている医薬品は17薬剤である。最近の承認薬としては、腎性貧血治療薬2剤、高カリウム血症治療薬、がん性疼とう痛つう治療薬貼付剤、2型糖尿病治療薬、心房細動治療薬、けいれん性てんかん治療薬があげられる。

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