1-全体編 法人活動編
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78第11節 済生会ブランドの拡充経営戦略における広報の拡充・紙媒体の活用 近年、企業・団体における広報の重要性は飛躍的に増大した。特に危機管理広報は、メディアへの対応が組織の存廃まで左右した事例が相次いだことにより、その意義が広く認識されることとなった。ただ、危機管理はいわば「守りの広報」であり、「攻めの広報」としての製品・サービスの宣伝はもちろん、組織の理念を社員・職員に徹底することや士気の高揚を図るインナー・コミュニケーションの充実を経営戦略の一環として位置づけることも常態化した。 こうした動きを受けて本会も広報の拡充に当たり、その第一歩が「済生記者」制度だった。もともと各施設には理事長からの委嘱を受けた「通信員」がいて、機関誌「済生」に施設の記事を送る職務を負っていた。が、大半の通信員は院長や施設長の書いた原稿を送るのが主な役目と認識し、通信員が自ら書いて送稿する記事は全施設合計で毎月4~6本程度にとどまっていた。このため、自らの職務を認識しやすくしようと平成24年、名称を「済生記者」に改め、各施設の広報担当者を済生記者に充てるよう依頼し、広報担当としてのスキルを上げるための研修も実施した。 この結果、令和2年度、施設から送稿される記事は毎月60~80本にまで増大した。ただ、済生記者は180人前後任命されるものの、送稿が特定の施設に偏る傾向が続いている。また、広報担当がいない施設も多く、広報担当者の「必置」が今後の課題となっている。 済生記者の充実を図る一方、二つの紙媒体の性格も明確化した。A3判2ページの「ニュース済生」は済生会内部の情報を役職員に知ってもらうことを主眼とし、機関誌「済生」には本会のPR誌的な役割を持たせ、外部に配布しても差し支えないよう編集内容を一新した。医療・福祉は業態としてはサービス業だが、医療の宣伝・広告は厳しく制限されている。一方で、済生会が提供できるサービスの内容を正しく知ってもらうことは本会施設・地域住民の双方にとって重要であり、コンプライアンスを遵守したうえで情報をできるだけ分かりやすく発信する責務がある。 このことから、「済生」を平成27年4月号から判型を一新、B5判からA4判に大型化した。文字を少なく写真を大きく取り入れたレイ

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