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中国西部(四川省)大地震に関する緊急援助

「わずかでも力になれたことをうれしく思います」 水戸済生会総合病院 看護師 疋田 直子

  中国・四川大地震の被災者への医療支援活動を行うため、5月20日から6月2日までの2週間、国際緊急援助隊医療チームの一員として四川省成都市に派遣されました。私にとって、海外で医療活動を行うのは今回が初めての経験であり、今までに感じたことのない不安とプレッシャーでいっぱいでした。

水戸済生会総合病院_看護師 私たち日本の医療チームは、四川大学華西病院に入り、中国人スタッフとともに被災者の治療を行いました。私は助産師としての専門性を生かすため、産科病棟に入り、被災された妊婦・褥婦(じょくふ)のケアにあたりました。入院している妊婦・褥婦のほとんどが地震で家を失い、帰る場所のない方たちでした。そればかりか、母親が着ている服も赤ちゃんの服も紙オムツも哺乳瓶(びん)も粉ミルクも、すべて寄付していただいたものでした。

 家もお金もすべて失ってしまったはずなのに、彼女たちはいつも明るく笑顔で私に接してくれました。そんな彼女たちでも、余震があると一瞬にして表情が険しくなり、廊下へ飛び出していきました。「目の前で家が崩れていくのを見た」いつも明るくふるまっている彼女たちの心にも、大きな傷跡があることを目のあたりにしました。

 言葉も習慣も文化も違う国で活動をするのは、思っていた以上に大変でしたが、妊婦・褥婦やその家族からの「ありがとう」という言葉にとても励まされました。また、活動最終日に一人の褥婦から、「連絡先を教えてください。私は日本語が話せないし、あなたも中国語が話せない。今は連絡できないけれど、子供に日本語を習わせます。10年後には日本語が話せるようになっているから、その時は必ず連絡をします。」と言われた時は、わずかながらも彼女の力になれたこと、そして私を信頼してくれたことを本当にうれしく思いました。

 今回の派遣にあたり、病院関係者の皆さまには多大なるご協力をいただきましたことを、この場を借りてお礼申し上げます。また、被災地の1日も早い復興をお祈りいたします。