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ミャンマー連邦におけるサイクロン災害に関する緊急援助

6月にインフルエンザ流行とは… 千里病院千里救命救急センター 臨床検査技師 村上 勉

 ミンガーラーバー(ビルマ語で「こんにちは」)

 5月2日から3日にかけてサイクロン「ナルギス」がミャンマー連邦南部のデルタ地帯を直撃し、多数の被災者と物的被害が発生したことはテレビや新聞の報道でご存じと思います。約3週間後、ミャンマー政府の要請に基づき派遣された23名からなる国際緊急援助隊医療チームに参加した臨床検査技師です。

  エヤワディ管区ラブッタから3マイル(約4.8キロメートル)離れたゴルフ場で、テント770張りに被災者約6000名がキャンプ生活していました。5月5日に日本政府が物資供与したテントや毛布が使用されており、被災者の方々から感謝の言葉をいただいたことを報告いたします。我々は、そのキャンプの中央に十字テントの診療所を設置して9日間の診療活動を行いました。

 整理券を配布して受付順を決めましたが、遅れてきた幼児は当然のように優先され、また僧侶に対しては順番を譲るミャンマーの人々の心配りに触れました。報道などから持っていたイメージは消え、親近感とともに違和感がなく「なんとなく日本人と似ているよな」って好意の持てる国民です。

 キャンプのトイレは消毒剤が散布されており、塩素消毒された飲料水が供給されていました。心配された感染症の発生は、下痢症でコレラや赤痢を疑うような症例はありませんでしたが、顕微鏡検査でマラリア、迅速診断キットでロタウィルス、インフルエンザ、デング熱を診断できました。6月にインフルエンザやロタウィルスが流行しているとは、想像もできませんでした。ですから、この時期の熱帯地方からの帰国者の中には、インフルエンザやロタウィルスの感染者がいる可能性があります。

 隊員23名と通訳・ドライバーの総勢40名は、過酷な環境(気温・湿度・雨・食・住)にもめげず、精いっぱいの力を出し尽くせたミッションだったと思います。

 マニアックな写真がありますが、宿舎前から診療所に向かうバスの室内で採取したハマダラカ属(♀)、ヤブカ属、イエカ属の蚊さん達です。

 突然の派遣でしたが、国際緊急援助隊医療チームに送り出していただいた病院長、中央検査部の皆さん、関係者の方々に、この場をかりて感謝申し上げます。