社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2023.03.01

森田 想 さん

森田 想 さん

自然体の演技が光る若手実力派俳優、森田想さん。自らのエゴで兄姉を実家から追い出そうと画策する『わたしの見ている世界が全て』でもリアルな存在感を示し、マドリード国際映画祭で主演女優賞を獲得。時代の先端を生きる世代の一人とし […]

自然体の演技が光る若手実力派俳優、森田想さん。自らのエゴで兄姉を実家から追い出そうと画策する『わたしの見ている世界が全て』でもリアルな存在感を示し、マドリード国際映画祭で主演女優賞を獲得。時代の先端を生きる世代の一人として感じるこの作品の面白さ、森田さん自身の内面に迫りました。

 主人公の遥風は、時代の変化についていけない兄姉に対して「そんなことも知らないの?」とあからさまに見下すような20代の女の子。「私も言い方こそ違いますが、同世代として心情は理解できるし、言いたいことがあればはっきり言う。決して遠い人間ではないと感じます。社会風刺的な作品ですが、見る人が自分と重ねることでわが身を振り返るきっかけになれば」と語る。

 森田さん自身は現在23歳の若さながら、キャリアはすでに15年以上。18歳のときの初主演映画『アイスと雨音』では74分ノーカットの撮影に挑むなど、女優魂を見せた。もちろんこれまでに悔しい思いもしてきたが、遥風と違って思いを口には出さないという。

「その代わり、詩に気持ちをぶつけます。お芝居に限らず、すごく怒ったとき、泣いたとき、失恋して落ち込んだとき、負の感情で創作するほうが、自分と深く向き合って心が整理できる気がするんです。あとで読み返してそのときの感情を思い出し、役づくりに生かすことも。ハッピーなときは逆に、そんなことより外に出たいし、買い物したいかな(笑)」。もともと自然が好きで、たくさんの植物に囲まれた心地良い部屋を目指す「森林化計画」も実行中だとか。

 今後について聞くと、「自分がしっかり爪痕を残せる役をもらいたい!」。そう言って、プロ根性をのぞかせた。

文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2023年3月)
スタイリスト:入山浩章
ヘアメイク:榎本愛子

『わたしの見ている世界が全て』

『わたしの見ている世界が全て』©︎2022 Tokyo New Cinema

自分一人の力で生きてきたつもりの主人公・遥風が、母の死をきっかけに再会した兄姉との交流を通じて、大切なものに気づいていく物語。目的達成のためには手段を選ばない性格が災いし、ベンチャー企業を辞めることになった遥風。起業して見返そうとするが資金の工面に苦戦。実家の店を売って現金化することを思いつき、兄姉を実家から追い出すため「家族自立計画」を始める。

●監督・編集:佐近圭太郎
●脚本:末木はるみ/佐近圭太郎
●出演:森田想、中村映里子、中崎敏、熊野善啓 ほか

2023年3月31日(金)よりロードショー

森田 想 さん


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