社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2024.08.01

瀧内 公美 さん

瀧内 公美 さん

1989年、富山県生まれ。2012年から本格的に女優活動を開始。その半年後、映画『グレイトフルデッド』の主演を射止める(公開は2014)。2019年、映画『火口のふたり』で柄本佑とW主演を務め、第93回キネマ旬報主演女優賞を受賞。その後も映画、ドラマ、舞台、CMと幅広く活躍。現在放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」では、藤原道長の妻・明子を演じている。

単館映画作品でスキルと経験を培い、苦労の末にTVドラマの世界へ。今ではクセのある役から正統派のヒロインまで、幅広い演技で多くの視線を釘付けにする俳優の一人に。華麗な変身ぶりは一生のなかでいく度も変容を遂げる蝶のよう。そんな瀧内公美さんに、次の舞台で演じる「お蝶」との向き合い方について聞きました。

 今秋、出演する舞台『夫婦パラダイス』で、蝶を体現するような女性を演じる瀧内公美さん。「蝶には優雅なイメージがありますよね。ゆらゆらした曲線的な動きが気になってつい目で追ってしまう。そんな存在感を舞台上で出せたらいいなと思います」と語る。

 舞台の醍醐味(だいごみ)は演者と観客が一体となって作品がつくられていくこと。役者が芝居をするだけでは完成せず、受け手の生の反応によってその世界観は変わる。「だからこそ言葉を大切に、劇場空間の隅々にまでエネルギーを届けることを心がけています。軽妙な掛け合いとともに、人が生きる上で心が楽になる言葉がちりばめられている本作を、ぜひ劇場で味わっていただきたいですね」

 ただし、観てくれる人がいないと表現者にはなれない。「私はこれまで仕事がなかった時期が長かった。その分、今、毎日のようにお芝居ができるありがたさ、いろいろな人との出会いの尊さをひしひしと感じています。それもミニシアターに多くのお客さまが足を運んでくださり、出演した作品をご支援してくださったおかげです。1つ1つ考え抜いた末のパフォーマンスをお客さまに見ていただくことが次の作品につながると信じて、これからも演じることに執着する俳優であり続けたいと思います」

文:みやじまなおみ 写真:安友康博(機関誌「済生」2024年8月)
スタイリスト:Kohei Oishi ヘアメイク:Dong Bing Tou

シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.7【織田作之助】『夫婦パラダイス~街の灯はそこに~』

シス・カンパニー公演 日本文学シアターVol.7【織田作之助】『夫婦パラダイス~街の灯はそこに~』

川の向こうは「パラダイス」、でも、こちら側は人生の吹き溜まり。そんな川辺のスナックにワケアリのカップル柳吉と蝶子が流れ着く。スナックの2階に転がり込んだ2人だったが、この店にもなにやらワケアリの雰囲気が漂い……。織田作之助の人気作『夫婦善哉』を入り口に、夢か現か幻か、予測不能な劇空間が広がる。

●作:北村想
●演出:寺十吾
●出演:尾上松也、瀧内公美、鈴木浩介、福地桃子、高田聖子、段田安則

【東京公演】2024年9月6日(金)~19日(木)紀伊國屋ホール
【愛知公演】2024年9月22日(日祝)~23日(月休)穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
【大阪公演】2024年9月26日(木)~27日(金)森ノ宮ピロティホール

瀧内 公美 さん


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