社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい) SDGS rd05
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2022.01.12

エナメル上皮腫

ameloblastoma

解説:堀内 俊克 (横浜市東部病院 口腔外科部長)

エナメル上皮腫はこんな病気

エナメル上皮腫は、歯を形成するエナメル器と呼ばれる組織に生じる良性の腫瘍です。歯の組織が腫瘍化するため上下の顎の骨にのみ発症します。

10~20代の若年者に多く、性別では男性にやや多くみられます。発症する部位は下の顎の臼歯部にやや多い傾向があります。進行は緩やかですが、周囲の組織に入り込むように増殖するため、治療後の再発には注意が必要です。ごくまれですが、がんの性質を持った(悪性の)エナメル上皮腫もあります。

通常は痛みを感じることがなく、無症状のまま顎の骨が徐々に膨らみ、「顔面が腫れてきている、変形してきている」、「歯の位置が移動してきている」ことなどで気がつくことがあります。また、歯科治療時に撮影するX線写真で偶然発見されるケースも多々あります。

エナメル上皮腫の検査・診断

エナメル上皮腫が疑われた場合、組織を一部採取して調べる病理組織検査によって診断されます。また、X線検査やCT検査によって腫瘍の部位や大きさを診断することは、治療方法の選択に役立ちます。

エナメル上皮腫の治療法

現在のところ手術で切除するしか治療法がありません。切除方法は、腫瘍を周囲の顎の骨とともに切除する「顎骨切除法」と、顎の骨の形や働きを残すために周囲の骨をなるべく残す「顎骨保存外科療法」の大きく二つに分けられます。顎骨切除法に比較して、顎骨保存外科療法では、再発する可能性が高く、繰り返し手術することがあります。顎骨切除法で顎の骨が切除された場合にはほかの部位から骨を移植し、顎の骨の形や働きを改善する再建手術が必要となることがあります。

どちらの方法を適用するかは、患者さんの年齢、腫瘍の大きさや部位、タイプなどを総合的に考慮し決定します。

痛みなどがないため、症状に気がついたときには病状が進行していることがあります。また、生えてこない歯がある場合はX線の検査を受けることをお勧めします。歯科治療時のX線検査で偶然発見される場合もありますので、歯列矯正などで定期的に歯科治療を受けていることが早期発見につながることもあります。

発症の予防法は残念ながら現在のところありません。病変が小さければ切除する範囲が少なく済み、手術後の機能障害を少なくできる可能性があります。

解説:堀内 俊克

解説:堀内 俊克
横浜市東部病院
口腔外科部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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