済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約66,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
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2024.12.11
萎縮性腟炎とは、閉経や子宮がんなどによる卵巣摘出がきっかけで女性ホルモン(エストロゲンや卵胞ホルモン)が低下し、外陰部や腟粘膜が萎縮(縮んで小さくなる)・乾燥することで傷がつきやすく、炎症が起きやすくなる病気です。衣服による摩擦刺激や、膣が萎縮している状態の性行為などによって膣や外陰部が傷つき、細菌が侵入することで発症します。デリケートな悩みで放置してしまう人も多い病気ですが、実は閉経期以降の女性の多くが萎縮性腟炎と思われる症状に悩んでいるといわれています。
多くの場合は、閉経後数年してからの頻尿、陰部の痛み・乾燥による陰部の不快感、掻痒(そうよう=かゆみ)感、おりものの異常(黄色い・緑っぽい、においがいつもと違うなど) 、性交時の痛みなどの症状が出ます。炎症によって不正性器出血が起こることもあります。
まず、問診と内診を行ないます。内診では、点状出血(毛細血管が破れることで皮膚に現れる、赤色や紫色の小さな点)がないか確認します。ここで診断がつく場合もありますが、多くの場合は子宮がん検査や細菌感染の検査を行ない、悪性腫瘍や細菌感染の有無を確認します。
治療は局所の保湿剤、ステロイド剤、潤滑ゼリーなどを症状に応じて処方する対症療法が中心となりますが、症状が強い場合や対症療法による効果が少ない場合はホルモン剤による治療を行なう場合があります。ホルモン剤には飲み薬・貼り薬・腟錠・塗り薬などがあり、粘膜の潤いを取り戻し膣の状態を改善してくれます。腟錠(女性ホルモンを含有)は比較的短期間の治療で症状が改善する場合も多く、副作用も少ないため治療薬としてよく選択されています。治療については担当医とよく話し合い、自分に合った治療法を選んでください。外陰部を清潔に保つことも重要です。
陰部の痛みや不快感、かゆみ、おりものの異常 、性交痛などの症状がある場合は、一度婦人科を受診されることをお勧めします。特に不正性器出血がある場合は子宮がんによる出血の可能性もありますので、速やかに受診してください。
外陰部を清潔に保つことが大切です。症状が強い場合は石鹸やボディーソープなどの使用を控え、通気性の良い下着を着用するようにしましょう。
解説:岡田 理
豊浦病院
産婦人科科長
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