社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2021.06.16

脂漏性皮膚炎

dermatitis seborrheica

田中 亮多 (水戸済生会総合病院 皮膚科 主任部長)

脂漏性皮膚炎はこんな病気

脂漏性皮膚炎は頭や顔面など、皮脂の分泌が盛んな部位(脂漏部位)にできる湿疹です。新生児期から乳児期にみられる「乳児型」と、思春期以降の成人にみられる「成人型」があります。
乳児型では生後2~8週頃に頭部、顔面の脂漏部位を中心に湿疹病変が生じますが、この頃は母体と児由来のアンドロゲンという男性ホルモンが増加する影響で、皮脂分泌が盛んになることが原因と考えられています。一方、成人型は思春期以降の男性に多く、こちらもアンドロゲンによる皮脂分泌促進が関係すると考えられています。
また、病変部ではマラセチアという皮膚の常在菌が増加していることがあり、マラセチアが皮脂を分解して生じる遊離脂肪酸も脂漏性皮膚炎を発症する要因の一つと考えられています。

脂漏性皮膚炎の症状

頭部では頭皮から髪の生え際、眉間部・眉毛部、鼻唇溝部(びしんこうぶ=鼻のわき)、耳の中や後ろ、体幹部では脇の下や股・太ももの付け根(鼠径部)が脂漏部位に該当し、好発部位となります。


病変の特徴として、紅斑(赤い斑点)や皮膚の皮むけ、落屑(らくせつ=フケ)があります。また、乳児型では、黄色油脂性のかさぶたが付くこともあり、ニキビと同じような丘疹(きゅうしん=ブツブツ)や膿疱(のうほう=膿を持つ水ぶくれ)が額や頬部に多発することもあります。

脂漏性皮膚炎の検査・診断

乳児型の場合、生後12週(3カ月)頃から脂腺が退縮し始め、皮脂の分泌が減少していきます。したがって、それよりも長い期間にわたり症状が持続する場合には、アトピー性皮膚炎やランゲルハンス細胞組織球症(LCH=ランゲルハンス細胞の異常増殖による炎症)が疑われます。皮膚生検(病変のある皮膚組織の一部を採取して調べること)などの精査を要することもあるため、専門医への受診をお勧めします。
成人型の場合、酸性メチレンブルー染色液を用いた顕微鏡検査により、マラセチアの数を測定することが診断の助けになることがあります。

脂漏性皮膚炎の治療法

乳児型の場合、適切なスキンケアだけで自然に改善することが期待できます。
よく泡立てた石鹸で洗浄してください。このとき、洗浄成分が残らないようにシャワーでよく洗い流すことが重要です。その後、柔らかいタオルで水分をふき取り、ワセリンや保湿剤を塗ります。
成人型の場合、頭部の皮膚炎に対しては抗真菌薬含有シャンプーを使用します。顔面や体幹部の病変には、マラセチアの数を測定し、多い場合には抗真菌薬が有効です。また、いずれの型でも炎症が強い場合にはステロイド外用薬を使用します。

脂漏部位に湿疹病変・皮膚炎が生じた際には脂漏性皮膚炎を疑います。脂漏部位を理解しておけば、疑うのはそれほど難しくないでしょう。

乳児型の場合、出生後早期より適切なスキンケアを実践することが重症化を予防するのに役立ちます。成人型の場合、湿度が低い環境や、疲労・ストレス、さらに偏食などによるビタミンB群の欠乏などで悪化すると考えられています。そのため環境面の調整、および食事やサプリメントによりビタミンB群を適量摂取するように心がけるとよいでしょう。

田中 亮多

田中 亮多
水戸済生会総合病院
皮膚科 主任部長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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