お母さん、行くんだよね!
B子さんは北陸の済生会病院で働く看護師です。
共働きで、中学校2年と小学校5年の2人の子がいます。
2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。
B子さんは、病院のテレビに流れる悲惨な映像にショックを受けました。
DMAT(災害派遣医療チーム)のない病院ですが、
ボランティア派遣の話があちこちで持ち上がっています。
「行かなければ」。
看護師の血が騒ぎました。
しかし、多忙の夫や子どもたちの世話はどうする?
まだ、手が離せない。でも、子どもも自分たちで何とかできる年頃だ。
いろいろ考えはめぐります。
答えが出ないまま、日勤を終え、家に帰りました。
「ただ今」と玄関を開けるなり、子どもたちが走り出てきて声をそろえました。
「お母さん、行くんだよね!」。
夫も珍しく帰っていて、子どもについて出てきました。
「大丈夫だよ、行っておいで」。
何も言っていないのに、なぜ……涙があふれてきました。
B子さんは翌々日から1週間、病院から派遣され、東北の被災地で看護師として存分に支援活動に当たりました。