なでしこナースのストーリー

ある日曜日の話

私の職場は障害者施設である。
入って11年の歳月が流れ、ここでの看護師の役割は「予防と早期発見」だと思っている。
集団生活の健康管理は重要な位置を占める。
その判断は「経験が役立っている」と自負しているが、時に油断してしまうことがある。

先日、創立10周年記念の企画として、山口県・下関海響館への日帰り旅行を入所者、家族、職員で楽しんで来た。
7台の車両に車椅子のまま乗り込み、いざ出発。まずは唐戸市場で腹ごしらえ。
雨が落ちてきそうなあいにくの天気だったが、中に入ると威勢のいい声が迎えてくれ、期待していたお寿司に一目散。
皆、観光よりもお寿司が目当てだったようである。

Aさんの見守りを頼まれた私。
最後のにぎりをほおばり、空になったお皿をじっと見ているAさんに、
「まだ食べますか?」と、つい聞いてしまった。
うれしそうにうなずくので、急いで買いに行ったのだが、
実は食事の前に、他のものをたくさん食べていたことがわかった。
周りの職員からは心配の声、私は苦笑い、当のAさんはずっと笑顔だった。

雨が降り出したものの、皆、満足顔で帰途に着くことができた。

私は、日々、こんなふうに一喜一憂している。

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