済生会グループ全体では40都道府県に83の病院、20の診療所、298の福祉施設――これらが全体で治験に取り組めば、大規模な治験が可能になります。実施地域によって治験の結果に差が出る可能性もあるので、日本各地の人に治験を行なうことで、治験の質を均一化することができます。患者第一を掲げる済生会の一員として自覚を持った約6万4,000人の職員による協力体制が構築されており、治験を受ける患者さんのフォローも手厚く行ないます。
1年間に済生会の医療施設を利用する患者さんは約1,700万人で、済生会グループの運営する施設をすべて含めると、利用者数は2,000万人を超えます。済生会の病院は市中病院で、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などの慢性病を抱えている患者さんも多くいます。
また、医師と患者さんの“距離”が近いことも特長です。今までに実施した治験でも、「先生が勧めるならやってみます」という患者さんも多くいます。
済生会では、生活困窮者の支援活動を積極的に行っており、ホームレス、DV被害者、刑務所出所者などへのさまざまなサポートも展開しています。岡山、広島、愛媛、香川の4県支部が運航する済生丸は日本唯一の診療船で、瀬戸内海53の離島を巡って主に高齢者の健診に当たっています。さらに、他の地域でも定期的に僻地での診療にも当たっています。患者さんの生活環境もさまざまで、そういった患者さんへの治験も対応可能です。
病院同士のつながりだけでなく、診療科同士のつながりが強いことも済生会の特長です。
また、済生会肝臓共同研究グループでは、NASH肝がんの増加を早期から予測し、肝生検のデータを蓄積し続けています。全国済生会循環器懇話会は、済生会の中でも最も古い横断的研究組織で、1988年に誕生し、34年の歴史を持っています(2021年現在)。2016年に発足した済生会リハビリテーション研究会では、今後ますます需要が高まっていくリハビリの研究を積極的に推進していく予定です。
社会福祉法人 恩賜財団済生会本部 共同治験事務局