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臨床研究センター 治験管理室

治験事務局インタビュー 共同治験事務局との連携を強化

コモンディジーズを中心に
幅広い治験領域に対応

済生会中央病院 臨床研究センター 治験管理室 センター長 髙橋 寿由樹
治験管理室 亀田 高寛 井川 浩美
済生会中央病院では2015年に臨床研究センターを設置し、院内で行う臨床研究・治験に対する支援体制を整えてきました。地域に根ざした病院としての診療実績を強みに、治験への取り組みや環境・体制づくりなどについて、髙橋寿由樹・臨床研究センター長、治験管理室の亀田高寛さんにお話を伺いました。

豊富な症例を生かして治験に力を入れていきたい

――治験事務局の基本的な体制、対応可能な治験領域について教えてください。

髙橋当院の臨床研究センターは臨床研究管理室と治験管理室の2つの部門で構成され、治験業務に関してはCRCなど一部についてSMOに委託しています。また、済生会本部の共同治験事務局との連携を強化し、本部のIRB(中央治験審査委員会)を利用しています。そこでは治験に関するさまざまな情報共有ができるため、メリットが大きいと感じています。
当院にはほぼすべての診療科がそろっていますので、幅広い領域の治験に対応可能です。日本で初めて糖尿病教育入院を始めたという歴史もある糖尿病内分泌内科は当院の看板といえますが、それ以外にも消化器系、脳神経系などの専門医が充実しており、高度な医療を展開しています。がん領域は、今後さらに重要な領域になっていきますので、受託につなげて実績を伸ばしていきたいと考えています。
また、当院は三次救急医療機関(救命救急センター)に指定されており、地域の救急に貢献しています。救急の現場で治験実施につなげるのは実際にはなかなか難しいですが、機会があれば挑戦したいですね。

髙橋寿由樹 臨床研究センター長

――中央病院で行う治験の特徴、強みはなんでしょうか。

髙橋何より、医師・メディカルスタッフが協力的で風通しがよく、横のつながりができていることが当院の強みです。もともとそういう風土でチーム医療を長年やってきていますので、治験に関してもスムーズに対応できる体制になっています。
また、当院は生活習慣病をはじめとして、コモンディジーズの症例が豊富です。大学病院が扱うようなアカデミックなテーマや疾患よりは、コモンディジーズを中心に、市中病院で扱う多くの疾患に幅広く対応できるという強みをさらに生かしていきたいところです。

現在、循環器内科で進行中の肥満症の治験(第Ⅲ相)が非常に注目を浴びています。患者さんの関心度も高く、治験の参加希望者が殺到するかんじで、エントリーがすぐに終わりに近づくような勢いです。
これを本部の共同治験事務局に紹介して、松山病院、横浜市東部病院でも治験を行っています。済生会の3つの病院による共同治験です。このように、治験の依頼がきたときに、全国の済生会病院が連携して実施する体制がつくっていけるのも大きな強みです。

肥満は生活習慣とも関連しますが、あらゆる病気のリスクファクターとなります。今後、従来の治療ではうまくいかなかった領域にも、新しい治療薬が出てくると思います。少しニッチな領域として、狙い目なのかもしれません。
あとは骨粗鬆症、変形性関節症など高齢者特有の疾患。認知症も今後新しい治療薬が開発される可能性はあり、治験にも積極的に取り組んでいきたいですね。

治験の意義、重要性を積極的に発信していくことも必要

――治験を実施するにあたって、フォローの体制や、特に配慮していることはありますか。

亀田患者さんへの直接の対応はSMOに委託していますが、なるべく患者さんのご都合にこまやかに対応できるように、例えば検査の予約などは、決められた日程以外にも各部署と調整して臨時で枠を作ってもらっています。
また、治験薬の管理業務や検査での採血業務など、各部署で賄いきれない業務について、センターでもフォローできる体制を整えていきたいと考えています。

臨床研究センター治験管理室 亀田高寛さん

髙橋通常の診療業務があり、さらにそこに治験の業務が加わることになります。もちろんCRCさんなどがサポートしてくれますが、そのほかにもペーパーワーク的な事務作業や、説明業務などが発生するので、ある程度の負荷はかかります。
治験をやることの意義や重要性が、職員にも患者さんにもまだ伝わりきれていない部分はあり、そこは私がもっとリーダーシップを発揮して、PRも含めて治験を推進するようなアクションをとっていければと思っています。
今はコロナの影響もあってなかなか進めにくい状態ではあるのですが、感染が落ち着けば、治験はむしろもっと伸ばしていかないといけない。治験によって医療の発展があるということを積極的に発信していくも必要ですね。

亀田治験の紹介をいただいたときに、その実施可否の判断や、実施できる場合に出せる症例数などを各関係者に確認していく作業をしていますが、この2年間ぐらいで、紹介数そのものは300件近くにものぼります。
診療科、検査科、薬剤科、放射線科……治験を実施する際に関わるあらゆる部署への負荷をいかに軽減するか。それが管理室の重要な仕事だということを常に意識し、そのために院内の先生方、さまざまな職種や部署の皆さんと日々コミュニケーションをとって調整を行っています。治験業務に関して部署間をつなぐような役割も担っていけたらと思います。

髙橋済生会には全国に80以上の病院があって、それぞれ一つの独立した存在ですが、大きくグループとして一つ、とみることもできます。一つの病院だけでやっていくよりも、済生会グループのつながりの中で、さまざまな情報を共有しながら治験を実施できるメリットは本当に大きいです。
今後も済生会本部とのネットワークをより深めながら、新しいジャンルの治験にも挑戦していきたいですね。

臨床研究センター 治験管理室

済生会中央病院 臨床研究センター 治験管理室 2015年に設置。院内での臨床研究・治験に対する支援業務を専任スタッフ2人で担っている。済生会本部の共同治験事務局との連携を強化し、本部のIRBを利用することで情報共有が進められている。 センター長 髙橋 寿由樹
治験管理室 亀田 高寛 井川 浩美

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