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治験審査委員会・治験評価委員会

治験事務局インタビュー 院内の横のつながりを大切に

治験を実施しやすい体制で
多くの実績を出せるのが強み

福井県済生会病院治験審査委員会・治験評価委員会委員長 宗本 義則治験事務局笠松 依子 釼内 真由美 岩佐 益美
済生会の80を超える病院の中で、治験の契約実績が最も多いのが福井県済生会病院です。同院では医師や薬剤師など治験に携わるメンバーが院内で密に連携し、治験を実施しやすい環境を作っています。治験審査委員会と治験評価委員会で委員長を務める宗本義則副院長と治験事務局のスタッフに、治験の実施体制や同院の強みなどについて聞きました。

治験に対するスタッフの意識が高い

――治験の実施体制はどのようになっていますか。

笠松当院の場合、大きく「治験審査委員会」「治験評価委員会」「治験事務局」の3つの組織から成ります。これらの組織のほかに、外部のSMO2社にも治験に協力してもらっています。
当院で受ける治験のうち、以前は治験にまつわる作業をSMOにフルサポートしてもらうことが多かったのですが、今はSMOにお任せするものと院内で手がける治験の本数は同じくらいになっています。

──福井県済生会病院は2年連続で済生会の病院の中でトップの契約本数です。年間の契約本数が20本前後になります。治験の依頼はどこから来るのでしょうか。

岩佐当院の医師に直接相談が来たり、SMOから紹介を受けたり、あるいは済生会本部の共同治験事務局からお話をいただいたりします。
また、実際に治験を実施する際には、県内で連携している200程度の病院向けの会報誌があり、それを通じて治験のご案内や患者さんのご紹介のお願いなどを掲載してもらっています。

──福井県済生会病院で対応可能な治験の領域について教えてください。

笠松当院にある診療科であれば対応可能です。当院には脂肪肝外来があるのですが、最近ではNASHやB型肝炎の治験は多いですね。頭痛外来もあるので、片頭痛の治験も行っています。

宗本小児向けワクチンの治験も実施していますが、当院には産科があるので、既に病院と患者さんとの信頼関係があり、小児の治験に参加してもらいやすいと思います。済生会で産科がある病院は多くないので、そうした治験ができるのは当院の特徴かもしれません。それ以外には潰瘍性大腸炎や透析関連の治験、あるいは癒着防止材のような医療機器の治験も進めています。

宗本義則 副院長・治験審査委員会委員長・治験評価委員会委員長

──治験をする上で福井県済生会病院の強みはどのあたりでしょうか。

宗本肝臓や頭痛などもそうですが、当院には各領域で経験豊富な医師が多くいます。そのため、医師に直接治験の依頼が来ることも多いです。そうした際に、それぞれの治験をしっかりと実施して実績を出していくような院内の体制が整っています。その意味では治験がしやすい病院だといえます。例えば、医師や他のスタッフも治験をしっかりと進めていこうという意識が高く、院内の連携もスムーズです。その結果、多くの実績が出るという好循環を生み出しています。こういった点が当院の強みではないでしょうか。

──病院によっては治験をたくさん受けたくても、なかなか手が回らないようなところもあると聞きます。その中で福井県済生会病院はどうして積極的に受けることができるのでしょうか。

宗本なぜ治験をやるのかということを、当院のスタッフが認識していることが大きいです。一部のメンバーが勝手にやっているのではないということを、周囲のスタッフも認識しています。我々も院内の啓発のようなことはしますが、やはりそれぞれのスタッフの意識が高いんだと思います。

左から治験事務局の岩佐益美氏、笠松依子氏、釼内真由美氏(3人とも薬剤部)

釼内治験をやりたいと考える医師が、それが新しい治療につながって困っている患者さんを助けられるんだと院内のスタッフに説明してくれます。そうしたこともスタッフ間で治験への理解が深まるのを後押ししていると思います。患者さんも治験を受けることで症状が改善するんだと思ってくれると、治験の成功に向けて一丸となって取り組めます。治験が試験のようなものではなく、治療の一環として進んでいるのが当院の特色かもしれません。

治験の実績を重ね、質の高い医療の提供へ

──患者さんに治験への参加を打診する際に大事なことは何でしょうか。

宗本医師としては治験を受けることのメリットとデメリットをしっかりと伝えることですね。それと治験について説明する際に、無理に参加しなくていいということは告げるようにしています。参加しなくても、治療にマイナスはないということを伝えます。というのも、患者さんの中には「先生にいわれたからには断れない」と感じる人もいらっしゃいます。そうした不安を取り払って、あくまでも患者さんご自身に判断してもらうことが重要です。
そしてもし治験に参加してもらえれば途中で中断することがないよう、手厚くフォローするようにしています。

──患者さんにはどういったフォローをするのですか。

釼内例えば、治験の合間などに気になることや不安なことがないかなどをお聞きします。患者さんのお話をじっくり聞くと喜んでいただけることが多いです。あとはスケジュール管理の際に、最初に決められた日程を変更できないか医師にかけ合うこともあります。患者さんご自身だと直接医師に伝えいにくい場合もありますので、我々スタッフが間に入ることで心理的な負担を軽減できればと思っています。

宗本治験の説明をする際も、最初に医師がすべて説明するのは時間的にどうしても難しいです。その場合も治験コーディネーターが間に入って患者さんに補足で情報を伝えたり、患者さんから気になった点を聞いて医師に伝えたりといった具合に、院内の横のつながりを大事にすることで患者さんも治験を受けやすい環境づくりを目指しています。

宗本義則 副院長・治験審査委員会委員長・治験評価委員会委員長

──院内の連携がうまく取れているんですね。最後に、福井の地で治験を行う上でのビジョンや展望について教えていただけますか。

宗本福井市内には大きな病院がいくつかあります。それぞれ体質や母体は当然ながら異なります。当院の場合は他の病院に比べて、治験に対する体制が整っています。縦割りのような組織の弊害もそれほどありません。また、済生会の病院として、済生会本部の「共同治験ネットワーク」を通じて治験の依頼がどんどん来るという流れができています。こうした点は当院の強みです。
その点を考慮すると、打診があった治験について極力対応していきたいと考えています。先述の通り、院内で治験に対する好循環も生まれています。治験の実績を重ねることで、最終的には患者さんにより質の高い医療を提供していきたいと思います。

治験審査委員会・治験評価委員会

福井県済生会病院 治験審査委員会・治験評価委員会 治験審査委員会は13人、治験評価委員会は計7人で構成され、同院副院長の宗本義則医師が両委員会の委員長を務める。治験事務局は薬剤部のメンバー3人で運営し、薬剤部長が統括する。 治験審査委員会・治験評価委員会 委員長 宗本 義則
治験事務局 笠松 依子 釼内 真由美 岩佐 益美

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