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臨床研究支援センター 治験管理部

治験事務局インタビュー 院内外のネットワークを生かして

人・部署を横断的につないで
治験実施体制を強化

済生会横浜市南部病院臨床研究支援センター 治験管理部部長 福島 忠男
CRC 安岡 晋吾 畑田 洋子
呼吸器内科主任部長 宮沢 直幹
済生会横浜市南部病院では2001年に治験事務局が設置され、治験実施体制を見直しながら院内CRCの養成にも力を入れるなど、積極的に治験に取り組んでいます。2019年には臨床研究支援センター 治験管理部が新設され、病院における治験の位置づけがより強化されています。今回は、治験の体制づくりや強みなどについて、福島忠男 副院長兼治験管理部長、宮沢直幹 呼吸器内科主任部長、安岡晋吾 CRCにお話を伺いました。

治験管理部が新設され、より横断的な仕事が可能に

――治験の実施体制について教えてください。

安岡2019年に臨床研究支援センター 治験管理部が設立され、現在は治験管理部長の福島先生のもと、専任の職員3人(薬剤師2人、臨床検査技師1人)が治験業務を行っています。新規治験の案件調査から契約手続き、初回審議資料の作成、患者スクリーニングや被験者対応、依頼者対応、院内調整、その他治験に関わるすべての業務を担当しています。特に薬剤師は治験薬の管理に、臨床検査技師は治験検体の取り扱いにも携わっています。
当院の特徴として職員がCRC業務を行っているので、治験担当医師や看護師、臨床検査技師、薬剤師、事務員など院内のさまざまな職種の人たちとのコミュニケーションを密にとることができます。また、患者さんには職員として接することができるので安心感を持っていただけると思います。さらに、治験に関する問い合わせなどにも迅速に対応することができます。

――体制が変わって、実務の上でどのような変化がありましたか。

安岡治験管理部が設立されたことで「治験の実施」に対する認識が、「特定の部署が行う業務」から「病院全体で請け負う業務」へと変わってきた気がしています。これまでも院長や経営幹部の方々の理解が得られていましたが、福島先生が所属長となったことでより多くの先生との連携が図れるようになりました。例えば新規案件の話があった際に、対象となる診療科への働きかけを行ってもらうことでこれまで以上に話を早く進めることができたり、どの診療科に声を掛けたらよいか判断に迷うときにアドバイスをもらうことで調整がとてもスムーズにできるようになったと感じています。

安岡晋吾 CRC

――連携体制がさらに強化されたのですね。

安岡CRCは患者さんや医師、関連部署のさまざまな人をつなぐ横断的な役割を担っていますが、現在は診療科と診療科とをつなぐこともできるようになってきました。そのため、複数の診療科が連携して一つの治験を行えることも当院の特徴であると思います。
また、最近の事例では、新規案件で一部の検査のみ当院では実施することが難しいというものがありました。そこで済生会本部に相談をしたところ、神奈川県内でその検査が可能な病院をすぐに見つけてもらうことができました。こうした病院の枠を越えた連携ができるのは、済生会のネットワークの強みであると思います。部門の壁や診療科の壁、病院の壁を越えた横断的な連携体制をより強化していきたいですね。

――全国の済生会グループの病院が連携できるのは大きな強みですね。

福島海外とは違い、国内には1,500床規模の大病院はほとんどありません。それだけの規模があって体制が整えられれば治験でできることも多いのでしょうけど、日本では当院のような中核病院が頑張っているというのが現状ではないでしょうか。そのような中で、一施設では必ずしも規模が大きくなくても、済生会の共同治験ネットワークを活用して各施設がつながることで実施が可能になる治験もあるのではないかと考えています。

福島忠男 副院長・治験管理部長

安岡本ネットワークの実務者研修会で済生会グループの治験担当者や本部の方々と交流が図れることも大きなメリットであると感じています。例えば、当院が初めて再生医療の治験を受けるときには再生医療の治験経験がある施設の方から、GCPの解釈で判断に迷ったときには本部の方からアドバイスをもらうことができ、とても助かった経験があります。

福島また、済生会共同治験の中央IRBを見学したことがありますが、本IRBは非常に有用で質が高く、なおかつ現場の業務負担を軽減できるので、利用するメリットは大きいと感じています。

治験に継続して取り組むには体制づくりが欠かせない

――対応可能な治験領域について教えてください。

安岡当院は地域中核病院として高度急性期の地域医療を担っているので、近隣の診療所から多くの患者さんが紹介されてきます。そのため、内科系の診療科ではすべての診療科で治験経験があります。なかでも呼吸器疾患や腎疾患の治験実績が豊富ですが、外科系の診療科にも治験に関心を持つ医師は多くいます。また、その他にも抗がん剤や再生医療、後発医薬品といった難易度の高い治験実績もあります。対象疾患の患者さんが見込める治験であれば、基本的には領域を問わず対応するようにしています。

――宮沢先生は治験責任医師として、積極的に治験に取り組まれているとお聞きしました。

宮沢前任の病院にいた頃から治験には積極的に取り組んでおり、当院でも是非やりたいと思っていたところ、すでにしっかりとした治験実施体制があったので、まさに“渡りに船”でした。10年前に私が初めて担当した治験が済生会の共同治験でしたが、それから少しずつ共同治験の実績も増えていると思います。
今後も協力できる治験は極力やっていきたいと考えています。患者さんにも新しい治療を提供することができますし、それが病院の特色にもなりますから。治験実績を重ねることで、継続して治験の依頼をいただく流れもできてきたと感じています。

宮沢直幹 呼吸器内科主任部長

安岡宮沢先生のように治験に協力的な医師が多いことも当院の強みであると思います。治験に携わることをステータスと考える医師もいれば、新薬の開発プロセスを経験することはとても勉強になると考える医師もいます。実際、新規治験の案件調査に対応可能な診療科は多くありますし、治験開始後も候補患者さんを積極的に探して治験管理部に連絡をくれる医師が多くいます。

宮沢当院はCRCの治験サポート体制が確立されており、症例を絞り込むための全カルテのスクリーニングなど、医師だけではとてもできないようなこともやってもらっているので、非常にありがたいですね。診療科とCRCとの連携はスムーズにできていると思います。

――治験を実施するにあたって、特に配慮していることはありますか。

安岡治験依頼者から継続して選ばれる病院となることを目指しています。選ばれる条件としては、「必要な症例が集められる」、「手続きが効率よく進められる」、「費用が高くない」などが挙げられると思いますが、当院では契約症例数をいち早く満了とし、追加契約が結べるように意識しています。また、治験依頼者から求められていることにタイムリーに対応できるようにレスポンスの早さには特に気をつけています。
また、当然ではありますが、治験に協力していただいている患者さんや医師、関連部署の方々に対しては、相手の立場に立って考えて気を配るようにしています。特に患者さんには治験に参加してよかったと思っていただけるように、日頃からコミュニケーションを図り、不安なことや分からないことを解消しながらともに参画しているという意識を持っていただけるよう心がけています。
その結果、治験が終わった後で「新しい医療のお手伝いができたことに誇らしく思えます」といった感想や、「自分が携わったことで世の中の患者さんの苦労が少しでも軽減されれば」といった意見をいただくことがあり、うれしく思います。

最後に、治験の実施体制を病院全体で継続していくには、治験に関わる現場の方々の協力が欠かせません。通常業務を行う中で治験を実施するというのは大変であると思うのですが、治験を行うことの意義を理解し、協力してもらえるように現場に寄り添い、要望等をできるだけ取り入れながら、負担を軽減できるよう努めています。そうした日々の積み重ねがあってこそ、治験に協力してもらえるような関係を各部署と築けているのだと思います。

臨床研究支援センター 治験管理部

済生会横浜市南部病院 臨床研究支援センター 治験管理部 2003年に初めての治験を受託し、現在は年間15件程度の治験を実施。院内CRCとして人・部署を横断的につなぐ“連携力”を強みに積極的に治験に取り組んでいる。 部長 福島 忠男
CRC 安岡 晋吾 畑田 洋子 土橋 佳代子

呼吸器内科主任部長 宮沢 直幹

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