社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2018.04.02

文音 さん

文音 さん
1988年、東京都出身。2008年の映画『三本木農業高校、馬術部』主役として女優デビュー。第33回報知映画賞新人賞、第32回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。12年ニューヨークへ演劇留学。14年に帰国後、ドラマ『SAKURA〜事件を聞く女〜』で女優活動を再開。ドラマ・映画・舞台に出演する。今年3月24日には映画『おみおくり』が公開された。

祖母と孫娘のふたりの絆(きずな)を描いた映画『ばぁちゃんロード』で主演し、おばあちゃん子のひたむきな孫娘を演じた文音さん。彼女を駆り立てる、芝居への情熱とは。

「ばぁちゃん役が草笛光子さんと聞いたときは本当にうれしかった! 私たちにしかできない映画ができると確信しました」

共演の草笛さんとは4年前のドラマ共演を機に付き合いが始まった。以来、家に招かれ一緒にトレーニングをしたり、食事に行ったりと親交を深めてきた「本当の祖母のように慕う方」。そのプライベートでの仲の良さが、撮影中も多くのアドリブを生み、スクリーンに映り出た。
「祖父母という存在は親よりも近いと思うんです。親に言えないことも相談できる。三世代そろって、この作品を楽しんでもらえたらうれしいですね」

芝居に興味が出て、東映のワークショップで学び始めたのは16歳のとき。母で女優の先輩である志穂美悦子さんからは、この世界での礼儀の大切さを説かれたという。映画主演デビュー後も、「芝居を本格的に学びたい」という思いが募り、24歳のとき「いましかない!」とニューヨークに飛び、現地の演劇学校に入学した。
「とにかく精神力を鍛えられましたね。世界中から集まった俳優たちの中で勝ち抜いていかないといけない。悔しい思いもたくさんして、ほぼ毎日、帰ったあと泣いていました」

厳しい日々を乗り越え、2年後に卒業。帰国して活動を再開した。そこまで情熱を注ぐ芝居の醍醐味(だいごみ)とは何か。
「相手と向かい合い、相手のために一心に芝居をする。すると、それが倍になって返ってくる。そんな互いの感情の連鎖で、予想以上の結果が生まれるときがあります。その素敵(すてき)な瞬間が、一番の醍醐味」と喜びをあらわにする。

この春は納棺師に挑む映画『おみおくり』も公開。出演した映画・舞台のDVDも続々と出る。「出演した作品が羽ばたいていくことで、多くの人に私を知ってもらいたい。2018年の今年は、八のつく末広がりの年だし(笑)」と期待を膨らませる。

「将来はコメディやアクションにも挑戦したい!」
日々、ヨガで体幹を鍛え、クラシックバレエで表現やメンタルのトレーニングも重ね、〝自分の強み〟を探求している。

文:浜口恵美子 写真:広田成太(機関誌「済生」2018年4月)
ヘアメイク:小林純子
スタイリスト:松純

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映画『ばぁちゃんロード』

映画『ばぁちゃんロード』
©2018「ばぁちゃんロード」製作委員会

結婚を間近に控えたおばあちゃん子の孫娘・夏海と、足をケガして施設で暮らす祖母・キヨ。一緒にバージンロードを歩く目標に向けて、二人でリハビリを重ね奮闘するさまを、海沿いの田舎町を舞台に描いたヒューマンストーリー。

●監督:篠原哲雄
●脚本:上村奈帆
●出演:文音、草笛光子/三浦貴大、桜田通/鶴見辰吾 ほか
2018年4月14日(土)東京・有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー

 

文音 さん