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2015.10.14
帯状疱疹とは、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症です。
ただし、初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染したときは、水痘(水ぼうそう)として発症します。多くの場合、水痘は子どもの頃に発症し1週間程度で治りますが、治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏しています。その後、加齢やストレス、過労などが原因となってウイルスに対する免疫力が低下すると、神経節に潜伏していたウイルスが再活性化し、神経を伝わり皮膚に到達して、痛みを伴う赤い発疹を生じます。これが帯状疱疹です。通常は生涯に一度しか発症しませんが、免疫が低下している場合には再発することもあります。
帯状疱疹が起こる仕組み
一般に、数日~10日間ほど神経痛のような痛みがあり、その後、身体の左右どちらか一方の神経に沿って帯状に赤い発疹が出現するのが特徴です。赤い発疹に続き、中央部がくぼんだ特徴的な水疱(すいほう/水ぶくれ)が出現しますが、皮膚と神経の両方でウイルスが増殖して炎症が起こっているため、皮膚の症状に加えて強い痛みを伴います。
顔面に起きる帯状疱疹では、角膜炎や結膜炎を引き起こしたり、まれに耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺などの合併症が出現することがあります。また、腰部や下腹部に発症すると、便秘になったり、尿が出にくくなったりという症状を伴うこともあります。
症状の特徴
治療は、抗ウイルス薬が中心となります。薬を使ってウイルスの増殖を抑制することで、急性期の皮膚症状や痛みを緩和し、合併症や後遺症を軽減します。できるだけ早期の治療開始が重要です。水痘のように、全身に水疱が出現したり高熱を伴ったりする場合は、点滴による治療が必要なことがありますので、入院設備のある皮膚科を受診してください。
なお、帯状疱疹の発疹が治った後でも、ウイルスの攻撃によって神経に傷跡が残ってしまい、痛みだけが長い間残ることがあります。この症状は「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、高齢の方や、帯状疱疹が重症であった方に起こりやすいといわれています。主に、内服薬による治療を行ないますが、痛みが激しい場合には、痛みの治療を専門とするペインクリニックなどで、「神経ブロック」という神経の周りに局所麻酔を直接注射する治療を行なうこともあります。
神経に沿って、身体の片側だけに違和感やピリピリした痛みが出現した数日~10日後、その部位に赤みや水疱(すいほう/水ぶくれ)が出てきたら、帯状疱疹の可能性があります。治療が遅れると、激痛が長期間続くこともありますので、早めに皮膚科を受診してください。
帯状疱疹は、水痘(すいとう/水ぼうそう)を発症したことのある人なら誰でもかかる可能性のある病気です。「医学解説」で述べたように、帯状疱疹は免疫力が低下することにより、水痘を引き起こした水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症します。そのため、免疫力低下の原因となるストレスや、過労を避けることがその予防につながります。規則正しい生活、バランスのとれた十分な食事、心の安静を心がけてください。
解説:高 淑子
中和病院
皮膚科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。