済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2023.08.09
天疱瘡は、皮膚の細胞の接着剤を壊す物質が突然身体の中にできてしまい、水ぶくれ(水疱)などの症状が現れる自己免疫性疾患です。
人間は一つの細胞から始まり、その後、細胞分裂によってたくさんの細胞ができることで身体が作られます。皮膚もたくさんの細胞でできており、それぞれの細胞は特殊な接着剤でくっつきあっています。天疱瘡は、体内に作られた自己抗体(自分の細胞を攻撃してしまう抗体)によって、この接着剤が剥がれ、細胞がバラバラになってしまいます。なお、自己抗体ができる理由は不明です。
障害を受ける皮膚の細胞の接着剤は、代表的なものとして3種類あることが分かっており、その種類ごとに「尋常性天疱瘡」「落葉状(らくようじょう)天疱瘡」「類天疱瘡」と病名が付いています。
皮膚にかゆみや痛みを伴う赤い斑点(紅斑)や水ぶくれができたり、口の中などの粘膜にびらんができたりします。重症化すると、身体中の皮膚が剥がれてしまって全身やけどのようになり、命にかかわります。
血液検査や、皮膚をメスで米粒ほど切り取って調べる組織検査などを行ないます。
血液検査では自己抗体を検出することができます。組織検査では、表皮に水ぶくれのほか自己抗体の沈着を確認できます。
ステロイドの飲み薬で症状をおさえることができます。
ステロイドには副作用がありますが、コントロールしやすい副作用が多いので、病気が長引いて重症化し命にかかわることに比べると、影響は少ないでしょう。
症状が軽い患者さんは外来治療になりますが、症状が重い患者さんは入院治療が必要なこともあります。入院が必要になる患者さんは、10人中1人くらいです。
天疱瘡の初期段階は原因不明のかゆみや、多発する水ぶくれを発症する人が多いです。こうした症状が現れたら、皮膚科専門医を受診して相談してください。
天疱瘡は発症の原因が不明で、残念ながら予防法はまだ分かっていません。健康に気をつけて、日々を健やかに過ごしてください。
解説:緑川 和重
松山病院
皮膚科主任部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。