社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

むくみ むくみ

むくみとは、皮下に余分な水分が溜まっている状態で、「浮腫(ふしゅ)」とも呼ばれます。
動脈から身体の各組織中ににじみ出た水分は、役目を終えたあと、通常は静脈やリンパ管に戻ります。しかし、何らかの原因で静脈やリンパ管に回収されにくくなると、たまった水分に皮膚が押されて膨らんだような状態になり、むくみが起こります。

むくみが起こりやすい身体の部位としては、まぶた、顔面、腕や手指、下肢(下腿や足部)などがあります。また身体の表面からは見えませんが、喉頭(のど)にむくみが生じることもあります。

朝起きたときにまぶたや顔が腫れぼったかったり、夕方になると足がむくんだりするものの、一定の時間が経つと消えるような軽度のむくみは健康な人にもよく起こるもので、特に治療の必要はありません。
一方、病気が原因でむくみが現れることもあります。むくみを生じる病気は多くありますが、代表的で緊急度の高い病気には、心不全や腎不全、アナフィラキシーなどがあります。下記のような場合には、一度内科を受診することをお勧めします。

  • これまであまりむくんだことがないのに、急にむくみが出た・ひどくなった
  • 12日経ってもむくみが消えない
  • むくみのせいで生活に支障をきたしている
  • 下肢の浮腫の場合、左右で違う(左が太くなっているなど)
  • むくみ以外にも何らかの症状がある(いつもとは違うむくみのような気がする)
  • (喉頭浮腫の場合)声が急にしわがれた、声が出にくい
  • むくみとともに、息苦しさやせき、腹痛吐き気、頻脈や動悸不安感などがある(アナフィラキシー)
    ※ある場合は救急車を呼んでください

どんな人に、どんなときに現れるか

日常生活上の軽度のむくみは、年齢や性別を問わずしばしばみられる症状ですが、筋肉量や運動機会の少ない女性や高齢者、月経中、冷え性、食塩を多く摂る食習慣のある人、アルコール摂取後などで特に起こりやすい傾向があります。低栄養状態(低タンパク血症)の人にもしばしばみられます。

むくみは大きく「全身性」(むくみが全身にみられる)と「局所性」(身体の限られた場所にみられる)に分けられ、それぞれに原因となる病気があります。原因となっている病気の治療を行なうことで、むくみの症状が改善していくことも少なくありません。
また、薬剤(消炎鎮痛薬や一部の経口血糖降下薬など)の影響でむくみが起こることもあります。

どんな病気が関係しているか

「むくみ」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。

全身性浮腫

症状とその特徴

説明

疑われる主な病気

・むくみ

・呼吸困難

・頻脈

・血圧低下(または上昇)

・体重増加

心機能の低下に伴う体循環のうっ滞により、四肢末梢を中心としてむくみが現れる

心不全

・むくみ

・貧血

高血圧

・体重増加

・尿量の変化(主に減少)

腎機能の低下に伴う体液過剰により、全身性のむくみが現れる

腎不全

・むくみ

・黄疸

・体重増加

・腹部膨満

・低アルブミン血症

肝臓の機能低下により、血中のアルブミンが低下する。腹水により腹部膨満となることもある

肝硬変

・むくみ

・タンパク尿

・高コレステロール血症

・体重増加

・低アルブミン血症

尿中にアルブミンを含むタンパクが失われることにより、むくみが強くなる状態

ネフローゼ症候群

・むくみ

・徐脈

・皮膚の乾燥

・食欲不振

・体重増加

・疲れやすい、寒がり

・甲状腺(首前部)の腫れ

甲状腺ホルモンの作用不足に伴う代謝低下によりむくみが現れる。女性に多い

甲状腺機能低下症

・むくみ

解熱鎮痛薬(NSAIDs)や経口血糖降下薬などの薬剤の影響(副作用)でむくみが現れる

薬剤性浮腫

局所性浮腫

症状とその特徴

説明

疑われる主な病気

・下肢の腫れやむくみ、痛み

下肢静脈瘤

・左右の太さが違う

深部静脈の狭窄や閉塞に伴って下肢にむくみが現れる

深部静脈血栓症

(例:エコノミークラス症候群)

・顔面~上半身のむくみ

・せき

鼻血

・チアノーゼ

・横になると息苦しい

上大静脈の狭窄や閉塞に伴って顔面~上半身を中心にむくみが現れる

上大静脈症候群

・むくみ

・皮膚のかゆみ、発赤

・皮膚の熱感

ヒスタミンの作用で赤くかゆみを伴う膨疹(皮膚がスポットで膨らむようなむくみ)が現れる

蕁麻疹

・むくみ

・皮膚の緊満・蒼白

(慢性化すると)皮膚の肥厚

がん手術等で臓器とともにリンパ節を摘除したあとに、リンパ流が障害されて起こる

リンパ浮腫

・むくみ

・皮膚の熱感

・皮膚の腫れ、発赤

・皮膚の痛み

炎症症状に伴ってむくみが現れる

蜂窩織炎

やけど

外傷

チェックポイント

(1)次のような症状の有無を確認する

  • むくみの部位はどこか、左右差はあるか(全身性か、局所性か)
  • いつからむくみ始め、どのくらい続いているか
  • むくみ以外の症状はあるか(あればどのような症状か)
  • 1日の中でむくみの状態に変動はあるか
  • 体重の増加を伴っているか
  • むくみとともに、息苦しさやせき、腹痛吐き気、頻脈や動悸不安感などがあるか
    ※ある場合は救急車を呼んでください

(2)次のような環境を確認する

  • 現在、患っている病気はあるか
  • 飲んでいる薬やサプリメントの種類
  • 食事の嗜好(食塩摂取状況)やアルコール摂取の状況
  • 健康診断の受診歴および結果
  • アレルギーの有無


泉 学

解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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