社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

けいれん けいれん

けいれん(痙攣)とは、全身や身体の一部に現れる、自分の意思とは無関係に起こる筋肉の収縮のことをいいます。

けいれんの原因はさまざまで、慢性の脳疾患である「てんかん」の発作として起こるけいれんのほか、脳血管疾患や頭部外傷、身体疾患の急性症状としてみられるけいれん、薬物やアルコールに関連して発生するけいれん、発熱をきっかけに発生するけいれん、心因性に発生するけいれんなどがあります。原因がはっきりしない場合もあります。

多くの場合、数秒~数分間の短いけいれん発作が起こります。けいれんとともに、身体の感覚異常や無反応(行動停止)、意識消失、錯乱などがみられることもあります。意識消失に伴って嘔吐尿失禁・便失禁、流涎(よだれ)などが生じることもあります。また、けいれん発作後には、頭痛や疲労感、意識の混濁、四肢の脱力感などが残ることがあります。

けいれんが長時間持続する場合や、短時間のうちに何度も生じる場合を「けいれん重責」状態といい、低酸素状態に陥りやすいため、速やかな治療が必要です。

なお、こむら返りやまぶたなどの筋肉の一時的なぴくつきなど、生理的な筋緊張異常も「けいれん」と呼ばれることがありますが、これらは多くの場合、治療を必要としません。

どんな人に、どんなときに現れるか

けいれんは、年齢や性別を問わず起こる可能性のある症状ですが、特に5歳以下の乳幼児では38℃以上の急激な発熱に伴って起こる「熱性けいれん」があります。
熱性けいれんは通常は数分以内に治まり、特別な治療は不要で、ほとんどの場合、後遺症を残さず回復します。落ち着いて子どもを安静に寝かせ、嘔吐に備えて顔を横に向けます。5分以上発作が続くようであれば救急車を呼んでください。5分未満で治まった場合も、落ち着いたら受診しましょう。

また、小児~高齢者で幅広くみられるものとしては、脳の神経細胞の異常な興奮により反復性の発作を引き起こす「てんかん」によるけいれん発作があります。
てんかんの発作は多くの場合、持続時間は数分です。原因やてんかんの種類(発作型)に合った薬物療法で発作を抑制することが大切です。

どんな病気が関係しているか

「けいれん」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。

症状とその特徴

説明

疑われる主な病気

・けいれん

38℃以上の発熱

・嘔吐、下痢

乳幼児期に起こりやすい。けいれんの継続時間は5分以内が多いのが特徴

熱性けいれん

・発熱、頭痛、嘔吐

・首が硬く曲げにくい

・けいれん

・意識障害

乳幼児期に起こりやすい。脳や髄膜(頭蓋骨と脳の間の膜)に細菌やウイルスが感染して炎症が起こる

脳炎

髄膜炎

・けいれん

・頭痛、嘔吐、尿失禁

脳の神経細胞の過剰な興奮により反復性の発作が起こる。さまざまな種類がある

てんかん

・手足のしびれ

・意識障害

・けいれん

内頚動脈(脳に血液を送る血管)が少しずつ詰まっていく難病、10歳以下の小児期と30~40台の成人期に多い

もやもや病

・頭痛、上腹部痛

・視覚障害

・けいれん

・意識消失

妊娠20週頃~出産後に起こる原因不明のけいれん発作。妊娠高血圧症候群の患者に起こりやすい

子癇

・手の震え

・吐き気・嘔吐

・イライラ、不安

・発汗

・けいれん

長期間の多量飲酒を中止した後に、離脱(禁断)症状としてけいれんが起こることがある

アルコール離脱症候群

・脚のけいれん

・不眠

就寝中に起こり、睡眠が妨げられる(睡眠障害)。高齢者に多い

周期性四肢運動障害

チェックポイント

(1)次のような症状の有無を確認する

  • 意識はあるか
  • けいれんの部位は全身か、身体の一部分か
  • けいれんが起こったのは起きているときか、就寝中か
  • けいれん以外の症状はあるか(あればどのような症状か)
  • けいれんの持続時間
  • けいれん中の記憶があるか
  • けいれん前後に症状があるか(あればどのような症状か)
  • けいれん後は、元の状態に戻っているか

(2)次のような環境を確認する

  • 過去にもけいれん発作やてんかん発作が起こったことがあるか
  • 何をしているときに起こったか
  • 目撃者はいるか
  • 薬を服用しているか(あるいは急に中断した薬などがあるか)
  • 飲酒習慣はあるか(あれば飲酒量や頻度、過去の飲酒歴)
  • 麻薬の使用歴はあるか
  • 胃腸障害、睡眠障害(不眠など)、ストレス、発熱や感染症の有無


泉 学

解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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