けいれん
この症状が現れる主な病気 27件
けいれん(痙攣)とは、全身や身体の一部に現れる、自分の意思とは無関係に起こる筋肉の収縮のことをいいます。
けいれんの原因はさまざまで、慢性の脳疾患である「てんかん」の発作として起こるけいれんのほか、脳血管疾患や頭部外傷、身体疾患の急性症状としてみられるけいれん、薬物やアルコールに関連して発生するけいれん、発熱をきっかけに発生するけいれん、心因性に発生するけいれんなどがあります。原因がはっきりしない場合もあります。
多くの場合、数秒~数分間の短いけいれん発作が起こります。けいれんとともに、身体の感覚異常や無反応(行動停止)、意識消失、錯乱などがみられることもあります。意識消失に伴って嘔吐や尿失禁・便失禁、流涎(よだれ)などが生じることもあります。また、けいれん発作後には、頭痛や疲労感、意識の混濁、四肢の脱力感などが残ることがあります。
けいれんが長時間持続する場合や、短時間のうちに何度も生じる場合を「けいれん重責」状態といい、低酸素状態に陥りやすいため、速やかな治療が必要です。
なお、こむら返りやまぶたなどの筋肉の一時的なぴくつきなど、生理的な筋緊張異常も「けいれん」と呼ばれることがありますが、これらは多くの場合、治療を必要としません。
どんな人に、どんなときに現れるか
けいれんは、年齢や性別を問わず起こる可能性のある症状ですが、特に5歳以下の乳幼児では38℃以上の急激な発熱に伴って起こる「熱性けいれん」があります。
熱性けいれんは通常は数分以内に治まり、特別な治療は不要で、ほとんどの場合、後遺症を残さず回復します。落ち着いて子どもを安静に寝かせ、嘔吐に備えて顔を横に向けます。5分以上発作が続くようであれば救急車を呼んでください。5分未満で治まった場合も、落ち着いたら受診しましょう。
また、小児~高齢者で幅広くみられるものとしては、脳の神経細胞の異常な興奮により反復性の発作を引き起こす「てんかん」によるけいれん発作があります。
てんかんの発作は多くの場合、持続時間は数分です。原因やてんかんの種類(発作型)に合った薬物療法で発作を抑制することが大切です。
どんな病気が関係しているか
「けいれん」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
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・けいれん ・38℃以上の発熱 |
乳幼児期に起こりやすい。けいれんの継続時間は5分以内が多いのが特徴 |
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・首が硬く曲げにくい ・けいれん ・意識障害 |
乳幼児期に起こりやすい。脳や髄膜(頭蓋骨と脳の間の膜)に細菌やウイルスが感染して炎症が起こる |
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・けいれん |
脳の神経細胞の過剰な興奮により反復性の発作が起こる。さまざまな種類がある |
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・手足のしびれ ・意識障害 ・けいれん |
内頚動脈(脳に血液を送る血管)が少しずつ詰まっていく難病、10歳以下の小児期と30~40台の成人期に多い |
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・頭痛、上腹部痛 ・視覚障害 ・けいれん ・意識消失 |
妊娠20週頃~出産後に起こる原因不明のけいれん発作。妊娠高血圧症候群の患者に起こりやすい |
子癇 |
・手の震え ・発汗 ・けいれん |
長期間の多量飲酒を中止した後に、離脱(禁断)症状としてけいれんが起こることがある |
アルコール離脱症候群 |
・脚のけいれん ・不眠 |
就寝中に起こり、睡眠が妨げられる(睡眠障害)。高齢者に多い |
周期性四肢運動障害 |
チェックポイント
(1)次のような症状の有無を確認する
- 意識はあるか
- けいれんの部位は全身か、身体の一部分か
- けいれんが起こったのは起きているときか、就寝中か
- けいれん以外の症状はあるか(あればどのような症状か)
- けいれんの持続時間
- けいれん中の記憶があるか
- けいれん前後に症状があるか(あればどのような症状か)
- けいれん後は、元の状態に戻っているか
(2)次のような環境を確認する
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
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※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。