済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
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2015.11.09
悪性高血圧は、別名「高血圧緊急症」とも呼ばれ、単に血圧が異常に高いだけではなく、血圧の上昇によって脳、心臓、腎臓、大動脈などに急性の障害が起こり進行する病気で、すぐに治療しないと命を落としてしまうこともある病気です。
原因としては、生活習慣などにより高血圧が悪化してしまうものと、ホルモンを分泌する臓器に腫瘍ができるなどにより一気に血圧が上昇してしまうものがあります。また、血圧が異常に高いものの、臓器障害の急速な進行の見られないものは高血圧切迫症と呼ばれます。
悪性高血圧では、上の血圧が180mmHg、下の血圧が120mmHg以上にもなります。血圧の上昇によって、高血圧脳症や大動脈解離、心不全、心筋梗塞、不安定狭心症などの病気が悪化、進行してしまいます。なお、臓器障害によっては、より低い程度の高血圧でも悪性高血圧とされます。
血圧を上げるホルモンを分泌する臓器に腫瘍ができて悪性高血圧になる例としては、褐色細胞腫クリーゼがあります。褐色細胞腫クリーゼは副腎にでき、カテコラミンを過剰分泌することで、急激な血圧の上昇を引き起こします。これ以外にも、重症高血圧を伴う妊娠や子癇(しかん)などがあります。
高血圧が悪化することで起こるタイプの悪性高血圧(高血圧緊急症)では、頭痛や肩こりなどの症状を感じていることが少なくありません。しかし、心筋梗塞などが起こって、病院に運ばれた際の検査で悪性高血圧症が発覚することもあります。急性期の症状は、頭痛や悪心(吐き気)、嘔吐、けいれん、意識障害、視力、視野障害、高度の頻脈、乏尿など多岐にわたります。
若いうちから高血圧の自覚症状があれば、自分は悪性高血圧になる可能性があると意識して、日頃の生活から自分の体調の変化に気を付けるよう心がけてください。
徐々に高血圧が進行し悪性高血圧(高血圧緊急症)に至る場合は、まず高血圧を発見し、その治療にしっかりと取り組むことで予防できます。ストレスや治療の中断、生活習慣の乱れが悪性高血圧の発症と関連しています。一方、一気に悪性高血圧に至ってしまう場合は、前兆がなく悪性高血圧にまで至ってしまう場合が多いので、症状が軽いうちに病院で検査を受け、原因を特定することが大切です。このような場合、原因を取り除くと高血圧そのものが改善されることがあるので、しっかりと治療するようにしましょう。
解説:亀山 智樹
富山病院
副院長・内科主任部長
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