血尿
この症状が現れる主な病気 15件
- 急性腎不全
- 膀胱炎
- 感染性心内膜炎
- 尿路結石
- IgA腎症
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- 多発性のう胞腎
- ループス腎炎
- 膀胱がん
- ナットクラッカー症候群
- 腎細胞がん
- 前立腺肉腫
- 腎盂尿管がん
- 播種性血管内凝固症候群
- 巣状分節性糸球体硬化症
- 絨毛がん
血尿は、尿が作られて排出されるまでの経路(尿路:腎臓~尿管~膀胱~尿道)のどこかで出血したことが原因で起こる症状です。目で見て明らかに分かる血尿(おおよそ尿1Lに対して1mLの血液が混入した状態)を、「肉眼的血尿」と呼びます。これに対して、尿検査や顕微鏡で観察しないと分からない程度のものを、「顕微鏡的血尿」と呼びます。
その他、色合いによって、鮮やかな赤やピンクなど「明るい色」の場合は尿が出るところ(尿道口)に近い部分(尿道や膀胱)での出血、黒っぽい赤や赤茶色など「暗い色」の場合は尿道口から遠い部分(腎臓や尿管)での出血、といった大まかな見分け方があります。
しかし、腎臓が原因で明るい色の血尿が出る場合もあり、尿の色だけではどこが出血しているのかを判定することはできません。また、尿路ではなく肝臓が原因の場合や(オレンジ色のビリルビン尿)、食事や薬剤の影響で尿が着色する場合もあります。水分の摂取が足りずに尿が濃い状態になっているときも、血尿のように見えることがあります。
いずれにしても、目で見て分かるくらいの血尿(肉眼的血尿)が出た場合は、ほかの症状の有無にかかわらず、なるべく早く病院(内科または泌尿器科)を受診してください。また、健康診断で尿潜血陽性(顕微鏡的血尿)と診断された場合でも、自覚症状がないからといってそのままにせず、内科または腎臓内科を受診してください。
どんな人に、どんなときに現れるか
目で見て分かる血尿は、小児~20歳代前半の若者を除くと、ほとんどが尿管~膀胱~尿道のどこかから出血したものです。これらは泌尿器科が担当する領域です。
血尿に加えて、突然の激しい痛みに襲われるのは尿路結石の典型的な症状で、男性に多いです。また、男性ならではの臓器である前立腺の肥大によって血尿が出るときもあります。女性の場合は膀胱炎による血尿がよくみられます。
50歳以上の場合は、膀胱や腎臓、腎盂、尿管にできた悪性腫瘍(がん)である可能性があります。血尿以外に特に症状がないことが多く、放っておくと血尿が自然におさまってしまうこともあり、受診するタイミングを逸してしまいやすいです。特に女性の場合、生理の際の出血と思い込んで発見が遅れてしまうことがあるので、一度でも血尿が出たら、念のために受診するようにしましょう。
なお、調べても原因が分からない血尿(特発性腎出血)もあります。この場合はそれほど心配する必要はありません。
どんな病気が関係しているか
「血尿」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
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・血尿 ・背中、下腹部の激しい痛み |
結石が尿道を刺激して出血する |
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・血尿 ・頻尿 ・排尿障害(勢いが弱いなど) |
前立腺が大きくなり、尿道の粘膜が充血して出血する |
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・血尿 ・頻尿 ・排尿時の痛み |
ウイルスや薬剤などさまざまな原因によって膀胱に炎症が起き、出血する |
出血性膀胱炎 |
・血尿 ・脇腹の痛み |
腎臓にがんができたり、腎臓の動脈が詰まったりして出血する |
腎がん 腎梗塞 |
・血尿のみ |
血尿のみでほかに症状がないことが多い。血尿は自然に止まり、再発するのを繰り返す。50歳以上に多い |
チェックポイント
(1)次のような症状の有無を確認する
- 血尿はどんな色をしているか
- 血尿が出始めたのはいつからか
- 過去にも血尿が出たことがあったか
- 自然に血尿が治まり、その後にまた血尿が出たことがあるか
- そのほか、気になる症状はあるか(痛み、頻尿など)
(2)次のような環境を確認する
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。