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2016.03.23
腎細胞がんとは、腎臓内部で尿をつくる細胞の一つである「尿細管細胞」ががん化したものです。日本人の罹患率はがん全体の約2%、死亡数はがん全体の1%程度ですが、年々増加傾向にあります。発症要因は、「肥満」と「喫煙」といわれています。
腎細胞がんは、腫瘍が小さいうちは症状がありませんが、大きくなるにつれて食欲不振や体重減少、血尿、腹痛、腹部にしこりを感じるといった症状が出ます。さらに、腎細胞がんが造血作用のある物質を作るために、赤血球増多症や高血圧などを誘発することもあります。
腎細胞がんの主な症状
転移がない場合は、手術による切除、放射線照射、抗がん剤治療があります。それぞれの治療成績に大きな開きがあり、手術的治療が第一選択です。直径40mm以下の腎細胞がんであれば、「腎部分切除術」が望ましいとされます。がんを治す効果としても優れ、かつ腎機能を温存できるからです。
最近では、低侵襲な治療(患者の身体への負担が少ない治療)として、内視鏡を使用した「腹腔鏡下腎部分切除術」が注目されています。皮膚切開が小さいため、術後の痛みが少なく、入院期間も短いのが特徴です。さらに、2016年4月からはロボットを使用した腎部分切除術も保険適用となります。
腎細胞がんは、腫瘍が小さいうちは症状がなく、早期発見が難しい病気でした。しかし、最近は超音波検査やCT、MRIなど画像検査の普及により、症状のない小さな腎細胞がんでも発見できるようになりました。診断はこれらの画像検査で90%以上確定できます。また、転移の有無についても同時診断が可能です。リンパ節や肺への転移が多く、その他にも骨、肝臓、副腎、膵臓、脳などにも転移します。
何よりもまず早期発見が重要ですので、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。
腎細胞がんの好発年齢は50歳代から70歳代で、患者数は女性よりも男性が多い病気です。発症要因の主なものとして「肥満」と「喫煙」があり、肥満の人はそうでない人に比べて、約4倍発生しやすいといわれています。その他にも、高血圧や降圧薬の服用、フェナセチン含有鎮痛薬の服用などが発症要因として挙げられます。また、職業や環境がそのリスク要因となる可能性も指摘されており、トリクロロエチレンやアスベストなどにさらされることが発症リスクを高くするといわれています。さらに、最近では遺伝子異常もリスク要因の一つとして挙げられています。
解説:町田 二郎
済生会熊本病院
副院長、腎・泌尿器センター上席部長
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