頻尿
この症状が現れる主な病気 17件
1日8~10回以上、あるいは就寝時に2回以上の排尿の機会があることを頻尿と呼びます。一般的に、健康な人は1日に1.5L前後の尿が出て、排尿回数は1日4~7回(このうち就寝時は0~1回)です。ただし、生活習慣によってその回数は変化し、飲水量の多さや緊張などによっても増えます。そのため、1日8回以上排尿の機会があるからといって、必ずしも病気であるとはいえません。
頻尿が起こるメカニズムはいくつかあります。
①多尿:1日の尿量が3.0Lを超えて作られる(水の飲み過ぎや糖尿病、尿崩症など)
②膀胱容量の減少:膀胱にためられる尿の量が減る(過活動膀胱、妊娠など)
③尿道の閉塞:膀胱から尿を出すための管(尿道)が狭くなる(前立腺肥大症、尿道結石など)
④膀胱~尿道の炎症:炎症が起きて頻回に尿意が起こる(膀胱炎、尿道炎、前立腺炎など)
⑤その他(薬剤の副作用、心因性)
下記のような症状がある場合は、医療機関を受診して相談するといいでしょう。
- 排尿回数が多すぎて気になる、生活に支障が起きている(昼間頻尿)
- 就寝中にトイレに何度も起き、睡眠が妨げられてつらい、生活の質が下がっている(夜間頻尿)
- 突然起こる、我慢できないような強い尿意に襲われる(尿意切迫感)
どんな人に、どんなときに現れるか
頻尿は女性が経験しやすい症状の一つです。急性の膀胱炎は若い女性に多く、尿道から細菌が入り込んで発症します。また、妊娠してお腹が大きくなったり、子宮の病気などがあったりすると、膀胱が圧迫されて頻尿になりやすくなります。
男性の場合は、前立腺が肥大したり炎症を起こしたりすると頻尿が起こります。また、男性に多い尿道結石、クラミジアをはじめとした性感染症などによる尿道炎も頻尿の原因となります。
男女を問わず、年齢とともに増えてくるのが過活動膀胱です。膀胱が過敏になって尿をためにくくなり、尿意切迫感や頻尿が起こります。また、糖尿病や腎臓病、心臓病、膀胱がんなどの基礎疾患の影響や、薬剤の副作用で頻尿が起こることもあります。
どんな病気が関係しているか
「頻尿」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
---|---|---|
・頻尿 ・排尿時の痛み ・尿の色が(白く)濁る |
尿道~膀胱に細菌が入り込み、炎症が起こる。若い女性がなりやすい |
急性膀胱炎 |
・頻尿 ・尿が出る勢いが弱い ・尿がすぐ出ない ・尿が残っている感じ |
尿道を取り巻く前立腺が大きくなり、尿道を刺激したり、排尿の邪魔をしたりする |
|
・頻尿 ・血尿 ・背中、下腹部の激しい痛み |
尿道にできた石が尿道を刺激して、頻尿や痛みを引き起こす |
|
・頻尿 ・尿意切迫感 ・トイレに間に合わない |
膀胱が過敏になっていて、尿をためにくくなる |
チェックポイント
(1)次のような症状の有無を確認する
- 朝起きたときから寝るまでに何回尿をしたか
- 夜寝てから朝起きるまでに、何回尿をするために起きたか
- 急な尿意があり、我慢が難しいことや漏らしたことがあったか
- 尿をした後にまだ尿が残っている感じがあるか
- 尿が途切れたり、勢いが弱かったりすることがあるか
- 尿をするためにお腹に力を入れているか
- 尿の色に変化はあるか(白濁、血や膿が混ざるなど)
- そのほか、気になる症状があるか(痛みなど)
(2)次のような環境を確認する
- 1日に摂っている水分量(食べ物を含む)はどのくらいか
- 通気性の悪い服や下着の着用により、陰部が不潔になっていないか
- 性的行為の前後での衛生管理(行為後の排尿など)
- パートナーの性感染症の有無
- 持病(糖尿病や腎臓病、心臓病、子宮の病気など)があるか
- 健康診断で指摘されていることはあるか
- 飲んでいる薬やサプリメントの種類
※可能であれば1~数日、排尿日誌(排尿した時刻、何mL排尿したか、起床時間、就寝時間、切迫感の有無、尿漏れの有無)を記録すると診療時の大きな参考になります
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。