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2021.04.21
尿道炎とは、尿道に細菌などが侵入し感染を引き起こすことで発症する感染症です。女性の場合は、尿道だけが炎症を起こすことはまれであり、尿道炎とは通常男性の病気を指します。
一般的には細菌が原因ですが、真菌やウイルスなどが原因となることもあります。
尿道炎は必ずしも性病とはいえませんが、性行為感染症として発症する例が多く、原因菌によって以下に分類されます。
1. クラミジア性尿道炎
クラミジア・トラコマティスという菌が原因です。排尿時の痛みは軽く、白色の分泌物が尿道から出ることがあります。
2. 淋菌性尿道炎
淋菌が原因で、排尿時の痛みが強く、黄色の膿性分泌物が尿道から出ることが多いです。
※クラミジアも淋菌も、主に粘膜の接触によって感染しますので、通常のセックスのほか、オーラルセックス(口腔性交)でも感染します。
3. 非クラミジア非淋菌性尿道炎
大腸菌などの細菌のほか、ウイルス、トリコモナス原虫(寄生虫の一種)などが原因となることがあります。
排尿時の痛みと尿道からの膿排出が特徴的な症状です。他に、尿道の違和感や痛みが出現することもあります。
泌尿器科専門医であれば、症状の問診と尿検査によって診断できます。原因菌を特定するには検査が必要です。尿道からの分泌物がある場合には、綿棒で分泌物を採取し、クラミジアや淋菌の検査を実施することもあります。また、出始めの尿を採取しPCR検査を行なうことで、クラミジアや淋菌を特定できます。
抗生物質(抗菌薬)により治療します。原因菌を特定するには数日かかるため、受診時の問診などで原因菌を推定し薬を処方します。治療により症状が消失しても、完治しているかどうかが重要です。特に性行為感染症であるクラミジア性尿道炎や淋菌性尿道炎の場合、クラミジアや淋菌が消失していることを確認する必要があります。また、パートナーを同時に治療することも重要です。
性行為感染症として発症した尿道炎では、原因菌が抗生物質に対して耐性を持っている(抗生物質が効きにくい)場合が増えており、通常の治療では治りにくいこともあります。
パートナーがクラミジア感染症と診断された場合には、症状がなくても泌尿器科を受診してください。
性行為感染症としての尿道炎は、粘膜の接触感染であることから、コンドームを用いることで予防できます。クラミジアが女性性器や咽頭に感染した場合、症状が軽かったり、無症状だったりすることが多いので、パートナーの検査や治療を同時に行なう必要があります。
解説:今津 哲央
千里病院
泌尿器科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。