社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

腰や背中の痛み 腰や背中の痛み

腰や背中の痛みは、人間が二本足で立つという、腰や背中を酷使する生活を選んだ時点で宿命的に起こってしまうものだといわれています。主な原因として、加齢による骨や軟骨、靭帯などの劣化、腰や背中に重い負荷をかける作業、悪い姿勢などがあげられます。また、感染症や腫瘍、内臓の病気、こころの問題などの影響で痛みを生じることもあります。

腰や背中の痛みは、基本的には筋肉や骨の問題(整形外科の領域)であることがほとんどです。多くの場合は、痛む部分を無理に動かそうとせず、安静にしていれば数週間で自然によくなります。だんだん症状が軽くなるようなら、しばらく様子をみていてもよいでしょう。

ただし、下記のような症状・状況がある場合は、早めに医療機関(整形外科、内科)を受診するようにしてください。

  • 突然発症し、痛み範囲が広がる(冷や汗が出るなどの強い痛み)
  • 生活に支障をきたすほどの強い痛み
  • 1カ月にわたり安静にしても症状が改善しない(病院以外で治療を受けた場合も含む)
  • 体重減少(ダイエットなど意図的な減少を除く)
  • 足腰に力が入らない、感覚がない
  • 尿や便を失禁する、トイレに行く頻度が変わった
  • 悪性腫瘍(がん)を患ったことがある

どんな人に、どんなときに現れるか

腰や背中の痛みは、重いものを持つ作業や悪い姿勢を長時間続ければ、老若男女を問わず誰にでも起こります。このような原因が特に思い当たらないのに1カ月以上痛みが続くようなら、筋肉や骨などに異常が起きているか、それ以外の病気の影響を受けている可能性があります。

筋肉や骨の問題によって起こる病気の代表例は、椎間板ヘルニアです。腰痛に加え、足に電気が走ったような痛みやしびれが起こります。また、加齢による組織の劣化により、変形性脊椎症や脊柱管狭窄症脊椎すべり症などが起こります。よくある症状は長い距離を歩き続けることができず、少し休むとまた歩けるようになるというものです。骨粗鬆症は閉経後の女性、高齢男性に多くみられますが、身体の重みに背骨が耐えられず脊椎圧迫骨折が起きることで、腰や背中の痛みを感じることがあります。

これらより頻度は下がりますが、背骨や腰に感染症が起きたり、悪性腫瘍ができたり転移したりすることで、痛みが生じる場合もあります。この痛みにより診断に至ることも少なくありませんので、注意が必要です。

筋肉や骨ではない部分での病気の影響で、腰や背中の痛みが起こることもあります。例えば、心筋梗塞狭心症によって、胸ではなく背中や肩などに痛みを感じることがあります。また、こころの問題(うつ病など)が身体化して、腰や背中の痛みが出ることもあります。

特に50代以上の人は我慢し過ぎずに、早めに医療機関を受診することが大切です。

どんな病気が関係しているか

「腰や背中の痛み」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。

症状とその特徴

説明

疑われる主な病気

・急に起こる強い腰痛

悪い姿勢で重いものを持つなどして、捻挫や組織の損傷などが起こることを一般的に指す

ぎっくり腰(急性腰椎症)

・下肢の痛みやしびれ

・力が入りにくい、動きにくい

・痛みにより背骨が曲がる

悪い姿勢で負荷がかかる作業をしていると、椎間板の一部が壊れて発症する。若い人でも起こる

椎間板ヘルニア

・長距離を歩くことができない(休むとまた歩ける)

・下肢の痛みやしびれ

椎間板や骨の変形により、神経が圧迫されることによって症状が出る。中高年に多い

脊柱管狭窄症

・腰痛(起き上がるとき)

・身長低下

骨粗鬆症により背骨が弱くなり、重さに耐えられずにつぶれる

脊椎圧迫骨折

・強い腰や背中の痛み(15分以上続く)

・動悸、息切れ、めまい、不安感、脱力感など

心臓に血液を運ぶ冠動脈が詰まり、栄養が足りなくなって心筋が壊死してしまう

心筋梗塞

・原因がはっきりしない腰や背中の痛み

・抑うつ気分

・食欲、睡眠などの変化

こころの症状がほぼ毎日、2週間以上続き、生活に支障をきたす。こころの痛みが腰や背中の痛みとなって出ることもある

うつ病

チェックポイント

(1)次のような症状の有無を確認する

  • どの程度の、どのような痛みがあるか
  • 突然起こったか
  • 痛みはどれくらい続いているか
  • 痛みが起こった起こるときの状況
  • 姿勢を変えて痛みが変化するか
  • そのほか、気になる症状はあるか(冷や汗、ふらつき、歩行のつらさ、足のしびれ、脱力、発熱など)

(2)次のような環境を確認する

  • 痛みが起こる原因(無理な姿勢や動きなど)に思い当たるか
  • 腰や背中を酷使する仕事や趣味があるか
  • 痛みによって生活にどれくらい支障があるか
  • 整骨院などの施術を受けているか
  • 飲んでいる薬やサプリメントの種類
  • 現在、患っている病気はあるか
  • がんを患ったことがあるか
  • 体重減少はあるか(ダイエットなど意図的な減少を除く)
  • 生活の変化(ライフイベント)や精神的ストレスなどがあったか

 



泉 学

解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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