筋肉や骨格系の機械的障害(整形外科の領域)であることがほとんどです。多くの場合、正確な診断が付きませんが、数週間で自然によくなることが多く、安静にしていて症状が軽くなるなら、経過をみるだけでよい場合も多いです。まれに、大動脈疾患、腎梗塞、膵炎(すいえん)などの内臓疾患や、腫瘍や感染性の場合もあり、これらは早期の診断・治療が必要です。
(1) 次のような症状の有無を確認する
(2) 次のような環境を確認する
1.整形外科領域の疾患
無理な姿勢の瞬間や、無理な動きのあと、動くと悪化する場合には、椎間板ヘルニア、筋挫傷、筋膜炎が疑われます。また、高齢の方や、ステロイドの長期使用歴がある方は、脊椎圧迫骨折が、一定時間歩くと脚部に鈍い痛みがある場合には脊柱管狭窄症が疑われます。癌などの病歴があり症状が徐々に進行する場合は転移性腫瘍の可能性があります。
2.内臓や血管の疾患
高血圧の既往症がある中高年の方で、突発的に痛みが現れた場合には、大動脈疾患の疑いがあります。左右どちらかから、側腹部や下腹部へ移動する痛みに加え、血尿が出る場合には、尿路結石も疑われます。まれですが発熱ともに安静時でも痛みが進行したり、股関節を伸ばすと痛くなったりすれば、腸腰筋膿瘍が考えられます。
その他腰や背中の痛みに関連する病気
解説:中村 隆志
済生会滋賀県病院 院長代行
医学博士、日本内科学会総合内科専門医・指導医