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2013.06.24
尿の中に含まれている物質が結晶になり、それがタンパク質などと結合して固まったものを結石といいます。
尿は腎臓でつくられ、尿管を通って膀胱にためられ、尿とともに外に排泄(はいせつ)されます。この、尿の通り道である「尿路」に結石ができる病気が、尿路結石症です。
結石のできた場所によって、腎臓にできたものは腎結石、これが下の尿管に落ちてきたものは尿管結石、膀胱にできた場合は膀胱結石と分類されます。
また、結石のもとになる尿中の成分はさまざまです。シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、尿酸結石、シスチン結石などが代表的です。
尿が酸性かアルカリ性かで、結石の主成分は変わります。酸性の尿では尿酸結石ができやすく、アルカリ性の尿ではリン酸カルシウム結石ができやすくなります。
尿路結石の種類
尿路結石症は文明病の一つといわれており、国民の食生活が豊かになるにしたがって急増しています。2007年の調査によると、日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が、一生のうち一度は尿路結石にかかるといわれています。
直径5~9mmまでの小さな結石は、尿道から自然に排出される可能性があります。そのため、水分を多量にとって結石が下降するのを促し、排石を待ちます。
自然な排出が期待できない場合や、尿路がつまって腎がむくんでしまっている場合などには、結石を砕いて小さくする手術を行います。近年は、お腹にメスを入れずに、専用の結石破砕機を使って体外から間接的に衝撃波を当てて、体内の結石を砕く手術がよく行われています。この手術で破砕された結石は、尿と一緒に自然に排出されます。
結石の大きさや位置によっては、尿道から細い内視鏡(カメラ)を挿入して結石を砕く手術や、背中から腎臓に向かって穴を空けてから内視鏡で腎結石を破砕する手術、お腹を切開して結石を取り出す手術なども行われます。
疝痛(せんつう)発作という、急な腰痛・腹痛で発症することが多くみられます。吐き気や冷や汗を伴い、顔面が蒼白になります。ただし、必ず激しい痛みが生じるとは限らず、鈍痛や重苦しさだけが感じられる場合もあります。
結石が尿路粘膜とこすれると、血尿が出ることがあります。結石が膀胱の方に下がってくると、残尿感、頻尿など、膀胱炎のような症状が出る場合があります。
なお、結石の疝痛発作は夏になると汗をかくなどして尿が濃くなるので、起きやすくなるともいわれています。
尿路結石の中でも、38.5℃以上の発熱を伴う場合は、結石性腎盂腎炎(けっせきせいじんうじんえん)という重篤になりやすい状態です。発熱を伴う場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
医療機関では、尿路結石では尿に血が混じることが多いので、検尿を行います。
腹部エコー、腹部単純X線撮影、CTなどを用いて、結石があるか、また位置や大きさなどはどうかを確認します。見つかりにくい場合は、造影剤を用いて撮影することもあります。
一日三食、規則正しくバランスのよい食生活が大切です。
特に、過去に尿路結石になったことのある人は、予防を心がけましょう。尿路結石はとても再発しやすい病気で、再発率は5年間で20%、20年間で80%ともいわれています。
ポイント1 水分をしっかりとる
水分を十分にとると、尿中のミネラルの濃度が低くなり、結晶化しにくくなります。1日あたり、食事以外に2000mlの水分をとることが理想です。水道水、麦茶、ほうじ茶などで水分を補いましょう。
ただし、尿酸結石の原因になるプリン体を含むアルコールや、砂糖を含む清涼飲料水、甘味飲料などはよくありません。コーヒーや紅茶も、過剰な摂取は避けましょう。
ポイント2 夜は食べ過ぎない
結石は夜、特に就寝中につくられます。そのため、「朝食、昼食は軽めにして、夕食はしっかりとる」というような食事のパターンはよくありません。また夕食から就寝までは4時間以上あけ、夕食後に水分をとるようにするとよいでしょう。
ポイント3 カルシウムを十分にとる
尿路結石の予防には、十分なカルシウムが必要だといわれています。シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、紅茶、チョコレート、タケノコ、大根など)とカルシウムを同時にとると、腸からのシュウ酸の吸収が抑制され、シュウ酸カルシウム結石の生成を抑制します。
また、野菜、穀物、海草や、青魚などは尿路結石を抑制するといわれています。一方、塩分の取り過ぎは結石生成を促進するようです。
ポイント4 肥満に気をつける
BMIの高い肥満の人ほど、尿路結石発生のリスクが高いという研究報告があります。
解説:大地 宏
山形済生病院
泌尿器科医長
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