済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
下痢とは「大便中の水分が増加した状態」です。健康な便(普通便)の水分量は通常は60~70%ですが、80~90%に増えるとやや軟らかい便(軟便)~泥状便となり、90%以上になると水様便になります。
下痢が起こるメカニズムは大きく4つに分けられます。
①腸からの水分吸収が妨げられる(浸透圧性下痢)
②腸に炎症が起きて腸の中に体液がにじみ出てくる(滲出性下痢)
③腸が出している腸液の分泌量が増える(分泌性下痢)
④消化物の通るスピードが速すぎて、水分吸収が追い付かない(過剰な蠕動運動)
下痢は日常的に起こる症状です。水分補給に気を付けて安静にし、しばらく様子を見ていれば多くの場合は改善します。しかし、下記のような場合は医療機関を受診した方がいいでしょう。
下痢は老若男女、誰にでも起こります。2週間以内に治る下痢は「急性下痢」、2週間以上4週間以内の下痢を「遷延性下痢」、4週間以上続く下痢を「慢性下痢」といいます。
急性下痢の原因としてよくみられるものに、下記があげられます。
食べ過ぎ、飲み過ぎ:脂っこい食品、お酒、香辛料、人工甘味料、サプリメント(食物繊維やマグネシウムなど)
感染症/食中毒:細菌が作り出した毒素やウイルス、寄生虫の増殖により腸が刺激されて炎症を起こす
生活習慣:ストレス、お腹の冷え
体質:アレルギー反応、乳糖不耐症
薬の影響:特に抗菌薬(抗生物質)、そのほかに降圧薬、便秘薬、痛み止め、胃薬など
下痢が4週間以上続く場合(慢性下痢)の場合は、背景に何らかの病気が隠れている可能性があります。内科または消化器科の医師に診てもらいましょう。
「下痢」の症状が現れる主な病気の中で発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
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ストレスや緊張、不安などによる精神的な要因が腸に影響を及ぼす |
過敏性腸症候群(IBS) |
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細菌やウイルス、寄生虫の感染により腸で炎症が起きる |
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乳製品を飲食した後にお腹がゴロゴロする |
乳糖を分解する消化酵素が弱く、腸での水分吸収が妨げられる |
乳糖不耐症 |
特定の物質に免疫系が反応し、腸でも炎症が起きる |
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消化管(主に腸)に炎症が起きる。若い人に多い |
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・血液の混じった便 |
がんが進行すると出血しやすく、腸管が狭く通りにくくなる。早期に見つけるには検診が大事。中年~高齢者に多い |
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。