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赤痢(せきり)

Dysentery

解説:岩﨑 教子 (済生会福岡総合病院 感染症内科主任部長)

赤痢はこんな病気

赤痢菌(Shigella)による腸管の感染症で、感染経路は、すでに発症した患者さんや菌を保有している人の便、汚染された手指、食品、水、ハエなどです。例えば、口と肛門を接触させる性交、汚染された手で調理したものを摂食、排泄物によって汚染された水を摂取、汚染されたプールでの水泳、といった行為で感染します。少量の菌量で感染する力を持っており、家族内、長期療養施設、保育園、軍のキャンプなど共同生活をする者同士では簡単に広がります。世界的に見ると、患者の約80%が10歳未満の小児です。国内では1970年代後半から患者数が激減し、最近では国外での感染が70~80%を占めています。暖かい地域、熱帯地域が流行地域であり、特にインドやインドネシア、タイなどのアジア地域が多くなっています。衛生環境の悪いところに滞在する場合は感染のリスクが高くなります。

病原体の赤痢菌には4種類(A群赤痢菌・志賀赤痢菌、 B群赤痢菌・フレクスナー赤痢菌、 C群赤痢菌・ボイド赤痢菌、D群赤痢菌・ソンネ赤痢菌)あり、国内では毒性が弱く症状も軽いD群赤痢菌が70~80%を占めています。

赤痢の症状

発症までの時間(潜伏期)は1~3日で、軽症から重症までさまざまな症状が出ます。症状は4~7日続きますが、主なものは全身のだるさ、悪寒を伴う発熱、下痢です。発熱は1~2日程度続き、腹痛や渋り腹(強い便意があるがなかなか便がでない状態)、水っぽい血便や粘血便がみられます。名前の由来にもなった血液混じりの下痢は、口から入った赤痢菌が大腸の上皮細胞に侵入し、これらの細胞が壊死、脱落することで起こります。

毒性が強いA群赤痢菌やB群赤痢菌はこれらの症状を起こしやすいですが、国内で多いD群赤痢菌は無症状であったり、軽度であったりすることが多いです。

赤痢の治療

便を検査し、赤痢菌かどうか診断します。無治療でも4~7日程度で症状は軽快しますが、治療することで治るまでの期間を短縮できる上、赤痢は二次感染する場合もあるため、公衆衛生的な面からも全例で治療します。下痢止めは使わず整腸剤を使用し、脱水が強い場合には点滴で水分を補ったり、スポーツ飲料を飲んだりします。

早期発見のポイント

流行している地域への渡航時や渡航後から突然の発熱や腹痛、下痢、血便などの症状があった場合は、赤痢を疑い早めに医療機関を受診しましょう。小児や高齢者など、下痢症状が続くと脱水のリスクが高くなる場合や、免疫疾患がある場合などは特に要注意です。

予防の基礎知識

有効なワクチンは存在しません。飲食物に注意し、赤痢が流行している地域では生ものや生水、氷などを摂取しないことが重要です。衛生状態が悪い飲食店の利用も極力控えるようにしましょう。また、手洗いを徹底し感染経路を遮断することも大切です。

岩﨑 教子

解説:岩﨑 教子
済生会福岡総合病院
感染症内科主任部長

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