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ポリオ

Poliomyelitis

解説:岩崎 教子先生 (済生会福岡総合病院 感染症内科主任部長)

ポリオはこんな病気

ポリオウイルスが口から入って腸管の中で増えることで感染し、突然四肢の麻痺が起こる疾患です。ウイルスは便中に排泄されて、この便で汚染された食べ物などを介して他の人にも感染します。腸管の中で増えたウイルスがリンパ組織から血液中に入り、最終的に脊髄の細胞に感染すると麻痺症状が現れます。

世界規模で根絶を目指していますが、アフリカや南アジア、東アジアでは未だに発症者が多いことが問題となっています。日本では1940年代から全国で流行がみられましたが、1961年に経口生ワクチンを輸入し一斉投与することで流行は終息しました。その後ワクチンの定期接種により、1980年以降国内での発生は確認されていません。ワクチン接種によりポリオの流行国は減少しており、2018年9月現在で流行しているのはアフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアなど限られた国です。生ワクチンは注射針などの医療器材が不要で、コストが低く多くの人に接種できることから、発展途上国では現在も使用されています。しかし、経口生ワクチンは麻痺のリスクがあるため、米国では2000年から、日本では2012年から不活化ワクチンに替わっています。

診断はポリオウイルスを便から検出することであり、発症後4週間は便中に検出されます。補助的に血液からのウイルス検出をする方法もあります。

ポリオの症状

感染してもほとんどの場合は無症状と考えられていますが、症状がなくても便中にウイルスが排出され、他の人に感染する可能性があります。感染して3~5日後に発熱、頭痛、咽頭痛、嘔吐など風邪のような症状が現れることがありますが、数日で改善することがほとんどです。1~2%の割合で、これらの症状に続いて髄膜炎を起こすことがあります。定型的な麻痺型のポリオは0.1~2%の割合で見られ、潜伏期(6~20日程度)のあとに風邪のような症状と四肢に弛緩性の麻痺が現れます。生涯麻痺が残ることもあり、嚥下障害や発語障害、呼吸筋の麻痺が認められることもあります。死亡例のほとんどは呼吸不全によるものです。

ポリオの治療法

特効薬などはなく、対症療法が基本です。麻痺症状があると診断されたときにはリハビリが必要になります。
呼吸障害が認められる場合、気管切開や人工呼吸器の使用が必要になることもあります。

早期発見のポイント

現在、ポリオが流行している地域は限られています。アフガニスタンやパキスタン、ナイジェリアなどに渡航したあと、原因不明の発熱や風邪のような症状、四肢の麻痺症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

予防の基礎知識

流行地域に渡航する場合、生ものや生水、氷などに注意し火が通っているものを摂取するようにしましょう。手洗いや手指消毒を徹底し、感染経路を遮断することも大切です。

短期の旅行では感染リスクが低いですが、流行地に長期滞在する場合はリスクが高くなるため、滞在期間によってワクチン接種を検討する必要があります。世界保健機関(WHO)は流行地域に渡航する人に対して、ポリオの予防接種を受けたことがあったとしても渡航前に不活化ワクチンを追加接種することを推奨しています。また、1975~1977年生まれの人はポリオに対する免疫が低いことが分かっているため、海外に渡航する場合は流行地以外でもワクチンの追加接種の検討が望まれます。

岩崎 教子

解説:岩崎 教子
済生会福岡総合病院
感染症内科主任部長

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