便秘
この症状が現れる主な病気 18件
便秘とは、本来は身体の外に出すべき糞便を、十分量かつ快適に出すことができない状態のことです。一般的には「いつもより排便回数が少ない」状態を便秘ということが多いですが、いつものように排便できていても「過度にいきまないと出なくなった」、「便が硬くてなかなかでない」、「残っているようでスッキリしない(残便感)」なども便秘と考えましょう。
便秘が起こる原因は大まかに下記のようなものがあります。
便秘は誰しも経験するもので、短期間ならまず心配ありません。食事や運動、排便習慣の見直しなどを行ない、様子をみてください。
便秘が長期間にわたり続く場合(慢性便秘症)は、念のため医療機関(消化器科、内科)で診てもらいましょう。特に便秘のほかにも気になる症状がある場合や、市販の便秘薬を長年使っているような場合は、「たかが便秘」と考えず受診してください。もともと患っている病気がある人、処方されている薬がある人で便秘が気になるようなら、気兼ねなくかかりつけの医師に相談してください。
どんな人に、どんなときに現れるか
慢性便秘症は50歳以下では女性に多いですが、男女とも加齢により増えてきて、70歳以降では男女差がなくなってきます。加齢により便秘が増える理由は、筋肉や神経の衰えにより排便しにくくなること、病気や薬の影響を受けやすいこと、食事や運動量が減ることなどが考えられます。
若い人の場合は、無理なダイエット、食物繊維不足、水分不足、排便を我慢する習慣、ストレスや精神的な問題、市販の便秘薬(刺激性下剤)への依存などが原因として多いです。
まれですが、大腸がん(中年~高齢者)や炎症性腸疾患(若い人)など、腸の病気が原因で便秘が起こっていることもあります。血便や腹痛を伴う場合や、便が細くなってきた場合は、なるべく早めに診てもらうようにしてください。特に定期的に大腸がん検診を受けていない人は要注意です。
どんな病気が関係しているか
「便秘」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
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・便秘と下痢を繰り返す ・腹痛、腹部不快感 ・排便で症状が軽くなる |
ストレスや緊張、不安など精神的な要因が腸に影響を及ぼす |
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・細い便、排便後も便が残っている感じ(残便感) ・血便 ・少しずつ何度も出る水様便 |
がんが進行すると出血しやすく、腸管が狭く通りにくくなる。早期に見つけるには検診が大事。中年~高齢者に多い |
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・静止時のふるえ ・動作が遅い、少ない ・身体のバランスを崩しやすい ・便秘 |
腸の神経に変化が起こり、便秘を起こしやすくなる。薬剤の副作用としても便秘がみられる |
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・興味や喜びの喪失 ・身体の痛みや重さ |
こころの症状がほぼ毎日、2週間以上続き、生活に支障をきたす。抗うつ薬(一部)の副作用として便秘がある |
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・無気力、疲労感 ・むくみ ・寒がり ・便秘 |
甲状腺ホルモンが足りず、体内の代謝が滞る |
チェックポイント
(1)次のような症状の有無を確認する
- 排便回数の変化
- 便の硬さや形、色の変化
- 残便感があるか
- 排便時に過剰にいきむ必要があるか
(2)次のような環境を確認する
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
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※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。