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2022.09.14
主に体重1500g未満で生まれた赤ちゃん(極低出生体重児・超低出生体重児)に発症する、生まれる前から腸にある便(胎便)が粘っこくなることで腸が詰まる病気(腸閉塞)です。腸の動きが未熟なため、胎便が腸内に長くとどまり、必要以上に水分が吸収されることで起こります。
なぜ腸の動きが障害されるかは不明ですが、生まれた週数に比べて体重が軽い赤ちゃん(胎児発育不全児)に起こりやすいことから、生まれる前の子宮内での発育環境が関係しているのではないかと考えられています。また、胎便性イレウスはのう胞性線維症の新生児にもよくみられます。
通常、胎便は生後24時間以内に自然に排泄されますが、胎便性イレウスではそれが認められません。肛門刺激(綿棒浣腸)や一般的な下剤による浣腸でも排便がほぼなく、腸が徐々に拡張することによりおなか全体が膨らみ、緑色の胆汁を含む嘔吐があります。進行すると腸に穴が開く(腸穿孔=ちょうせんこう)こともあります。
X線検査をすると、腸が広がっているのが確認できます。胎便性イレウスかどうかをはっきりと診断するためには、X線で透視しながら造影剤を肛門から注入し、腸の状態を確認します(注腸造影検査)。このとき、詰まっている胎便が確認でき、造影剤注入前後で腸の広がり方に変化がみられれば胎便性イレウスと診断できます。
診断のための注腸造影検査が治療も兼ねており、造影剤によって粘っこい胎便を軟らかくして、排泄を促します。軽症の場合には、注腸造影検査より先に造影剤を胃に投与することもあります。
注腸造影検査で改善しない場合や腸穿孔を起こした場合には、手術が必要になります。
生後24時間以内に胎便の排泄がほとんどないことに加えて、おなかの表面から拡張した腸が蛇行しているのを早くから確認できます。このような場合には、適切な時期に検査・治療を行なうことが重要となります。
胎便性イレウスを発症する可能性が比較的高い赤ちゃんには、生まれてから早めに胎便を排泄するように浣腸を積極的に行ないます。胎便の排泄がしっかりと認められるまでは、胃の内容物(空気や胃酸など)が腸に流れ込んで症状を悪化させないように、医学的管理のもと鼻や口から胃に管を入れて内容物を身体の外へ出すようにします。
解説:磯浦 喜晴
泉尾病院
小児科 医長
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