社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

肩や首の痛み 肩や首の痛み

肩や首の痛みが起こる原因は、大きく3つに分けることができます。

①肩や首の痛みを感じる部分に原因がある
(例:打撲、咽頭炎、甲状腺炎、不自然な姿勢でのデスクワークなど)

②肩や首の痛みを感じる部分以外に原因があって痛みが生じる
(例:緊張性頭痛→両肩、心筋梗塞狭心症→左肩、胆石発作→右肩など)

③精神的なストレスやこころの病気が原因で肩や首が痛む
(例:うつ病など)

肩や首の痛みの多くは①です。無理に動かそうとせず安静にしていれば、大抵は数日で痛みが軽くなってきて、12週間で治ります。
②や③は別の場所に問題があるのに肩や首の痛みが起こるというパターンです。この場合は原因となっている病気を見つけ、その治療を行うことが必要です。

肩や首の痛みが、生活に支障をきたすほど激しい場合や、少し様子をみても改善しない/悪化する/何度も繰り返す場合は、医療機関を受診してください。なお、呼吸の苦しさや冷や汗が出ている場合はためらわずに救急車を呼んでください。

痛みのほかに症状(発熱やせき、鼻水など)がある場合は、かかりつけ医もしくは内科に、痛みだけならまずは整形外科を受診するとよいでしょう。診てもらっても原因がはっきりしないまま断続的に痛みが続くような場合は、精神科や心療内科にも相談してみてください。

どんな人に、どんなときに現れるか

健康な成人での肩や首の痛みは、不自然な姿勢での長時間のデスクワークなどによる筋・筋膜性疼痛(いわゆる「肩こり」「首のこり」)が多いとされます。この筋肉由来の痛みは、筋肉を動かす際、つまりは体を動かした際に増悪することが多いとされます。その他、緊張性頭痛、のどの粘膜への刺激(感染や喫煙など)が加わって炎症が起きる咽頭炎による場合が多いです。いずれも安静にしていれば自然に治ることがほとんどですが、なかには治療が必要な病気(膿瘍、血腫、膠原病など)の場合もあります。長引く/悪化する/何度も繰り返す場合は、医療機関を受診してください。

これらに加え、中年~高齢者で気を付けたいのは、心筋梗塞狭心症といった心臓の病気による肩や首の痛みです。多くは突然発症し、寝ていても起きてしまうような強い痛みや圧迫感が出ます。この場合はためらわずに救急車を呼んでください。

子どもが肩や首を痛がっている場合は、咽頭炎や首のリンパ腺の腫れを疑います。特にAβ溶連菌による咽頭炎は、放っておくとより重症の病気(リウマチ熱)を引き起こしますので、早期の検査と治療が重要です。
また、ムンプスウイルスの感染による流行性耳下腺炎(おたふく風邪)もよくみられます。まれですが、川崎病という全身の血管に炎症を起こす病気の場合もあります。子どもが肩や首を痛がり、熱が出ている場合は早めに小児科に連れていってください。

どんな病気が関係しているか

症状とその特徴

説明

主な疑われる病気

・首の痛み

・発熱やせき、鼻水、吐き気や下痢など

ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどの感染により起こる

ウイルス性咽頭炎(かぜ症候群)

・首の痛みが徐々に起こる

・首を曲げると痛みが増す

・安静にすると改善

長時間にわたりデスクワークなどで不自然な姿勢を続けることで起こる

筋・筋膜性疼痛(肩こり、首のこり)

・肩や首の痛み

・締め付けられるような頭痛

・夕方に痛みが出やすい

長時間にわたる同じ姿勢や精神的なストレスの影響で血行が悪くなって起こる

緊張性頭痛

・強い痛みや圧迫感が左肩やのどに広がる(15分以上続く)

・動悸、息切れ、めまい、不安感、脱力感など

心臓に血液を運ぶ冠動脈が詰まり、栄養が足りなくなって心筋が壊死してしまう

心筋梗塞

・原因がはっきりしない肩や首の痛み

・抑うつ気分

・興味や喜びの喪失

・食欲、睡眠などの変化

こころの症状がほぼ毎日、2週間以上続き、生活に支障をきたす。こころの痛みが肩や首の痛みとなって出ることもある

うつ病

チェックポイント

(1)次のような症状の有無を確認する

  • 肩や首の痛みはどの程度か
  • 痛みはどれくらい続いているか
  • どんなときに痛みが強くなるか(食事に影響を受けるか、体を動かしたときはどうか)
  • 肩や首以外にも痛いところはあるか
  • 風邪のような症状(発熱、せき、鼻水、吐き気下痢など)はあるか
  • そのほか、気になる症状はあるか(動悸息切れめまい不安感、脱力感、口が閉じにくい、発疹、冷や汗があるなど)

(2)次のような環境を確認する

  • のどの粘膜を刺激するような要因があったか(喫煙、飲酒、空気の乾燥、寒い/熱い空気、ホコリなど)
  • 以前、痛む部分にケガや抜歯をしたことはあるか
  • 長時間、不自然な姿勢や同じ体勢を取り続けていないか
  • 現在、患っている病気はあるか
  • 健康診断で指摘されていることがあるか
  • 飲んでいる薬やサプリメントの種類
  • 生活の変化(ライフイベント)や精神的ストレスなどがあったか


泉 学

解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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