社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)社会福祉法人 恩賜財団 済生会(しゃかいふくしほうじん おんしざいだん さいせいかい)

2023.06.21

リウマチ性多発筋痛症(PMR)

polymyalgia rheumatica

解説:大庭 敬 (川俣病院 副院長)

リウマチ性多発筋痛症(PMR)はこんな病気

リウマチ性多発筋痛症(PMR)は首、肩、腕、大腿部などにこわばりと痛みを伴う炎症性疾患です。高齢者に多く発症し、男女比はおよそ1:2で女性に多くみられます。
身体の免疫システムが関連していると考えられますが、原因は分かっていません。
頭部の動脈がつまって炎症を起こす巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を合併することがあり、合併の有無で治療法が異なります。

リウマチ性多発筋痛症(PMR)の症状

発症は急に起こることが多く、起床時に筋肉の痛みが突然始まります。痛みは肩甲部、首、腕、大腿部に多く、運動すると痛みが増し、圧痛(押すと痛みを感じること)も伴います。微熱があって気分が憂欝になることがあります。
症状は午前中が強く、動くのがつらくても、午後になるといくぶんよくなるのが特徴です。

リウマチ性多発筋痛症(PMR)の検査・診断

血液検査では赤沈(赤血球沈降速度)の亢進やCRP(炎症や細胞・組織に障害が起こると増えるタンパク質)値の上昇がみられますが、それ以外はあまり異常値がありません。リウマトイド因子(関節リウマチなどにみられる自己抗体)やその他の自己抗体も陰性です。
診断は突然の筋肉の痛み、微熱、食欲不振体重減少、全身倦怠感などから他の病気を除外して行ないます。関節リウマチなどとの鑑別が難しいこともあるため、リウマチ専門医の判断が必要になることもあります。

リウマチ性多発筋痛症(PMR)の治療法

少量のステロイド(プレドニゾロン10~15mg)で症状は劇的に改善します。しかし、ステロイドの量を減らすのが速いと再発しやすいため、主治医の方針に沿って治療を行なってください。経過によっては、最小限必要な量を長期的に内服する場合もあります。

拍動性の頭痛など巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の合併が疑われるときは、ステロイドの大量投与による治療が必要になることがあります。その場合は専門の医療機関での治療が必要です。

50歳以上で、急に筋肉のこわばりや筋肉痛がある場合は早めに専門医を受診してください。一般に予後のよい病気ですが、早めに診断を受けて適切な治療を受けることが大切です。

原因不明の病気のため、残念ながら予防法はありません。気になる症状がある場合は、速やかに専門医を受診してください。

解説:大庭 敬

解説:大庭 敬
川俣病院
副院長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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