済生会は、明治天皇が医療によって生活困窮者を救済しようと明治44(1911)年に設立しました。100年以上にわたる活動をふまえ、日本最大の社会福祉法人として全職員約64,000人が40都道府県で医療・保健・福祉活動を展開しています。
済生会は、405施設・437事業を運営し、66,000人が働く、日本最大の社会福祉法人です。全国の施設が連携し、ソーシャルインクルージョンの推進、最新の医療による地域貢献、医療と福祉のシームレスなサービス提供などに取り組んでいます。
主な症状やからだの部位・特徴、キーワード、病名から病気を調べることができます。症状ごとにその原因やメカニズム、関連する病気などを紹介し、それぞれの病気について早期発見のポイント、予防の基礎知識などを専門医が解説します。
全国の済生会では初期臨床研修医・専攻医・常勤医師、看護師、専門職、事務職や看護学生を募集しています。医療・保健・福祉にかかわる幅広い領域において、地域に密着した現場で活躍できます。
一般の方の心身の健康や暮らしの役に立つ情報を発信中。「症状別病気解説」をはじめとして、特集記事や家族で楽しめる動画など、さまざまなコンテンツを展開しています。
2016.12.08
中型の動脈※の壁に炎症や壊死を起こす血管炎症候群の一つです。血管の壁に炎症や壊死が起こり、血管の流れに不具合が起こる病気にはさまざまなものがあり、まとめて血管炎症候群と呼ばれます。
主に炎症を起こす血管と炎症名
大動脈(太い血管)…大動脈炎症候群(高安動脈炎)、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)
中動脈…結節性多発動脈炎
小動脈…顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
毛細血管・細静脈…ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、過敏性血管炎
いずれも免疫の不具合が関わって起こると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
発熱、全身倦怠感、体重減少などの症状がみられます。さらに、動脈の炎症が起こる場所により、血流が悪くなったり臓器に炎症が拡がったりしてさまざまな不具合をきたします。
さまざまな不具合
脳血管(脳梗塞)、冠動脈(心筋梗塞、不整脈)、腸間膜動脈(腹痛、下血)、腎動脈(進行性の高血圧、腎機能障害)、手足の動脈(多発単神経炎、筋力低下、麻痺、皮膚の潰瘍)など
この病気では、炎症が長期にわたると動脈瘤が形成され、血管が数珠のようにでこぼこになることから結節性多発動脈炎と名付けられました。血液検査では炎症反応が陽性になります。
症状、診察所見、検査所見を組み合わせて総合的に診断します。画像診断(CT/MRI/血管造影/FDG-PET等)だけでなく、組織検査(皮膚生検、腎生検、神経生検等)等を行なうこともあります。これが出たら診断につながる、というような特異的な血液検査はありません。
自然と良くなることはまれであり、血行障害の場所や程度によっては命に関わることもあるため、多くの場合は入院の上、免疫をおさえて血管壁の炎症を止める治療が必要となります。治療の中心となるのは副腎皮質ステロイド剤です。まずはしっかりと免疫・炎症をおさえ、再発を防ぐためにも多めの量のステロイドで治療を始め、徐々に減らしていきます。副腎皮質ステロイドの量ができるだけ少なく済むように、ステロイド以外の免疫抑制剤も併用します。また、血管の詰まりを解消あるいは予防するため、血栓を予防する薬や血管を拡張する薬を併用することもあります。
※中型の動脈:心臓を出てから数回分岐した、径1〜4ミリメートル程度の動脈を指します。手足や内臓に血液を届けています。身体の表面に近いところを走る中動脈では(手首やくるぶしの後ろなど)、弾力のある血管と脈に触れることができます。
「医学解説」で述べたような症状や内臓障害などがみられるときは、専門医を受診しましょう。詳細な問診と診察、検査を行ない診断します。
残念ながらはっきりした原因はわかっておらず、明確な予防の方法はありません。
解説:渡邊 紀彦
済生会習志野病院
リウマチ膠原病アレルギー科部長
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