イライラ
この症状が現れる主な病気 15件
イライラとは、一般的には物事が思う通りにならなかったり、不快なことがあったりして神経が高ぶり、いらだっている状態を指します。医学的には、ささいなことで不機嫌になることを「易刺激性(いしげきせい)」、怒りっぽいことを「易怒性(いどせい)」といいます。
イライラの原因としては、まず精神的なストレスがあげられます。この場合、深呼吸や瞑想をして心を落ち着かせ、自分がなぜイライラしているのか客観的に原因を探り、その解決法や妥協点を見出せればしめたものです。また、身体を動かすなどして気晴らしをするのもよいでしょう。
一方、ホルモンバランスの乱れや病気などが関係していることもあります。
性ホルモンの分泌バランスの乱れ・変化との関連では、女性では月経前や妊娠中、更年期に女性ホルモンの影響でイライラしやすくなります(月経前症候群、更年期障害)。男性も加齢に伴い男性ホルモンの分泌が低下して起こる男性更年期障害によってイライラが起こり得ます。
病気との関連では、こころの病気(双極性障害、統合失調症、依存症など)のほとんどはイライラを引き起こしやすいことが知られています。また、脳の病気(脳卒中、低酸素脳症、脳炎、認知症、発達障害など)やけがによる高次脳機能障害もイライラの原因となることがあります。忘れてはいけないのが認知症です。攻撃的な発言をしたり、すぐに怒鳴ったりという初期症状が出ることがあります。認知症の周辺症状の一つで、性格・人格の変化として現れることもあります。おかしいなと思ったら、早めに病院を受診するようにしましょう。
どんな人に、どんなときに現れるか
精神的なストレスによるイライラは、老若男女を問いません。多くの場合は何らかのストレスを抱えていて、その解決や納得がしにくいときに起こります。その状態が長引いたり、程度がひどかったりすると、生活に支障をきたしかねません。
また、これといった精神的ストレスや病気などがなくても、生活の乱れによってリラックスする時間が取れないと、イライラしやすくなります。例えば、睡眠不足が続いている、忙しくて疲労がたまっている、運動不足、コミュニケーション不足などです。
一人でイライラを抱え込んでいると、そればかりに囚われてしまい、さらにイライラが増すという悪循環が起こります。相談できる人や専門家に話を聞いてもらうだけで楽になることはよくあります。
なかなかイライラが収まらない/繰り返す/理解しても止められない状態が数カ月続いているときは、かかりつけ医や精神科、心療内科、公認心理士などに相談しましょう。
どんな病気が関係しているか
「イライラ」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
---|---|---|
・特定の物質や行為(アルコール、たばこ、ギャンブルなど)への渇望が止められない |
特定の物質や行為ができない(できた)ときに易刺激性となる |
依存症 |
・脳の病気やけがをし、退院後しばらく経ってから出る ・性格が変わったようになる |
注意、記憶、思考、判断を行なう脳の高次機能が障害を受け、易刺激性や易怒性が起こる |
高次脳機能障害(社会的行動障害) |
・生理の2週間前から開始後1~2日の間に起こる ・生理のたびに起こる ・胸の張りなど身体的な症状がある |
排卵の前後に起こる女性ホルモン分泌量の急激な変化による |
|
・更年期(おおむね50歳前後)に起こる |
加齢により性ホルモンの分泌が減少することによる。女性だけでなく男性にも起こる |
|
・攻撃的な発言 ・すぐに怒鳴る ・性格・人格が変わる |
認知機能の低下により、周囲の状況が理解できなくなる |
チェックポイント
(1)次のような症状の有無を確認する
- イライラが起こるときの状況や頻度、周期
- イライラの原因と考えられるストレス源はあるか
- イライラ以外の精神的な症状(幻聴や幻覚、全能感、依存、無気力など)があるか
- 身体的な症状(ほてり、めまい、痛みなど)があるか
- そのほかの症状(不眠、記憶障害、注意散漫、段取りの悪さ、うまく話せないなど)があるか
- いつ頃に気が付いたか
(2)次のような環境を確認する
- イライラによる生活への悪影響はどれくらいか
- 現在、患っている病気はあるか
- 以前に脳の病気やけがをしたことがあるか
- 飲んでいる薬やサプリメントの種類
- 酒やたばこ、キャンブルやゲームなどへの依存はあるか
- 生活の乱れ(睡眠不足、多忙、心配事など)はあるか
- 生活の変化(ライフイベント)や精神的ストレスなどがあったか
- ストレスを解消する手段を持っているか
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。
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