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2013.02.01
脳卒中の3つのタイプ
脳卒中には、脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と、脳の血管が破れて起こる脳出血およびくも膜下出血があります。出血による圧迫や、脳内や心臓でできた血栓が詰まって生じる酸素不足によって脳細胞が部分的に死滅し、その場所に対応してさまざまな障害が後遺症として残ることがあります。
大脳皮質の機能と分野
中でも、大脳には、ブローカ領域、ウェルニッケ領域などと呼ばれる言語の表出(話す、書く)や理解(聞く、読む)を担当している部分(言語野)があり、ここが損傷すると、話す・書く・聞く・読む能力に障害が生じます。これが「失語症」です。
脳の障害される部分・程度により、失語症の種類・重症度はさまざまです。物の名前が分かっているのに出てこなくなったり、あるいは流暢に話すことはできるけれども意味のある言葉にならなくなったりすることもあります。
失語症をはじめとする脳卒中後の後遺症を最小限に食い止めるために、少しでも早く体が出す脳卒中のサインを見つけて治療を開始することが大切です。
1 吐き気を伴う、体験したことがないような激しい頭痛
2 顔の片側、片方の手足の脱力(運動麻痺)やしびれ(感覚障害)
3 ろれつが回らない、思ったことが言葉にならないなどの言語障害
4 片方の眼が見えなくなる、物が二重に見える、視野が半分欠ける
5 身体がふらつく、バランスがとれない、めまいがする
脳卒中は基本的には突然起こることが特徴ですが、くも膜下出血が起こった際には、特に激しい頭痛が生じます。この頭痛は、「頭を金づちで殴られたような痛み」と形容されますが、普通の風邪などとは違う激しい痛みであることが特徴です。これに吐き気が伴う場合は、脳卒中が発生している可能性が高いので、様子を見たりせずすぐに救急車を呼んで受診するべきでしょう。
また、脳梗塞の場合は本格的な発作の前に前兆が起こることがあり、これを一過性脳虚血発作(TIA)といいます。これらの症状はいずれも脳梗塞の症状として多いものですが、このような症状が2、3分~1時間程度続いた後、自然に治まることがTIAの特徴です。例えば急に手足が動かしにくくなったり、ろれつが回らなくなったりした後、いつのまにか治まるなどです。目にも血流を送っている頸動脈が詰まって、一時的に視力が低下する(一過性黒内障)こともあります。やがて幕が開くように視界が開けてきますが、これも脳梗塞の前兆になることがあります。
高血圧、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病は脳卒中の三大危険因子です。これらの生活習慣病が見つかったら医師の指示にしたがってしっかり治療することが脳卒中の予防に大切です。
食事は、脂肪や塩分の摂り過ぎに注意します。肥満を防ぎ、適度な運動を心がけましょう。タバコは、含まれる有害物質が動脈硬化や血管の収縮を起こすため、できるだけ禁煙に努めてください。また、アルコールは、1日に日本酒なら1合、ビールなら大ビン1本程度までとします。
解説:高木 誠
東京都済生会中央病院
院長
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