発疹
この症状が現れる主な病気 36件
発疹とは、目で見て分かる皮膚の変化を指します。いろいろな見た目の発疹があり、原因もまちまちです。大まかに下記のように分類されます。
斑 |
皮膚の一部が変色する。真皮の血管拡張による「紅斑」(赤み)、真皮内の出血による「紫斑」(青あざ)、メラニン色素の減少による「白斑」(白なまず)、色素や金属などの増加・沈着による「色素斑」などがある |
---|---|
膨疹 (蕁麻疹) |
皮膚の一部が平たく盛り上がり、多くは赤みやかゆみを伴う。1日以内に消える。ヒスタミンなどの作用で真皮内に浮腫が起こることによる |
丘疹、結節、腫瘤 |
皮膚の一部が隆起する(いわゆる「ぶつぶつ」「できもの」)。0.5cm未満の小さなものは「丘疹」、それより大きいと「結節」、3cm以上になると「腫瘤」と呼ばれる |
水疱、膿疱 |
発疹の中に液状の内容物が入っている(いわゆる「水ぶくれ」)。内容物が透明な場合は「水疱」、白~黄色の場合は「膿疱」と呼ばれる |
嚢腫 |
真皮内にできた嚢状の発疹。内容物が詰まった袋状になっている |
赤みやぶつぶつは、皮膚への刺激(引っかくなど)を控えていれば、多くの場合は自然に治ります。しかし、下記のような場合は皮膚科医やかかりつけ医を受診した方がいいでしょう。
どんな人に、どんなときに現れるか
発疹は、どの年代の人にも起こります。
小児はまだ肌が弱いので、ちょっとした刺激で発疹が出ます(オムツかぶれやアトピー性皮膚炎など)。また、発疹を起こす感染症(手足口病、伝染性紅斑〈りんご病〉、溶連菌感染症、突発性発疹、水痘〈水ぼうそう〉、麻疹〈はしか〉など)にもかかりやすいので、発疹以外の症状があるときは医療機関を受診しましょう。
成人の発疹の原因は多種多様です。大きな原因の一つは、外部からの刺激に対して皮膚バリア(皮膚の免疫システム)が負けてしまうことです。どんな刺激(環境の変化)が加わったのか、皮膚の保湿などはできていたかを見直してもいいかもしれません。
しかしながら、内分泌疾患(糖尿病や甲状腺疾患など)や肝障害、自己免疫性疾患(全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎など)の皮膚症状として出現する場合もありますので、経過をみて改善しない場合には、速やかに医療機関へ受診するようにしてください。
その他、発疹が悪化する、長引く、広がる、変化する場合や、皮膚以外にも症状が出ているような場合にも、医療機関を受診して診てもらった方がいいでしょう。
どんな病気が関係しているか
「発疹」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。
症状とその特徴 |
説明 |
疑われる主な病気 |
---|---|---|
・手、足、下肢、唇、口腔内に小さな水疱が多発 ・風邪のような症状 |
エンテロウイルスやコクサッキーウイルス感染による。乳幼児に多いが、近年では大人にも増えている |
|
・高熱 ・解熱後にピンク色の丘疹が体幹を中心に出現 |
ヒトヘルペスウイルス感染による。1歳以下の乳幼児に多い |
|
・紅斑、丘疹、水疱、膿疱 ・かゆみ |
何らかの理由で皮膚に炎症が起きたことにより生じる |
湿疹(皮膚炎) |
・急に現れて1日以内に消える紅斑、膨疹 ・かゆみ |
何らかの理由で皮膚の肥満細胞からヒスタミンが放出されて生じる |
|
・薬を飲んだ後に起きる発疹(種類はさまざま) |
多くは薬へのアレルギー反応。重症化することもあるので注意が必要 |
薬疹 |
チェックポイント
(1)次のような症状の有無を確認する
- どこに、どのような発疹が出たか
※写真を撮っておくと診療に役立ちます - どんなときに発疹が出たか
- かゆみや痛みなどの皮膚症状はあるか
- 皮膚以外に症状はあるか(発熱など)
- かゆみとともに、息苦しさやせき、腹痛や吐き気、頻脈や動悸、不安感などがあるか
※ある場合は、早急に救急車を呼んでください
(2)次のような環境を確認する
- 飲んでいる薬やサプリメントの種類(特に最近飲み始めたものに注意)
- 洗剤、アクセサリーなど、発疹が起きた部分を刺激したようなものがあるか
- 特定の飲食物やシチュエーションで発疹が誘発されるか
- 健康診断などで異常を指摘されていないか
- 現在、患っている病気はあるか
- 精神的なストレスを感じていないか
解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。
※診断・治療を必要とする方は最寄りの医療機関やかかりつけ医にご相談ください。
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