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2015.06.18
日光角化症は、その名のとおり紫外線に当たりやすい顔面やうなじ、手の甲などの部位に発症しやすい皮膚がんの一つです。薄紅色、褐色をした斑状のもので、表面は「ザラザラ」しているのが特徴です。
長い間、紫外線を浴びると発症しやすいといわれており、高齢者に多くみられます。オゾン層の減少に伴い、地上に紫外線が大量に降り注ぐようになって急激に増えています。
日光角化症は、早期に発見し治療してしまえば、根治することは難しくありません。しかし、日光角化症は痛みやかゆみの自覚症状がほとんどないため、放置していると悪性度の高い有棘(ゆうきょく)細胞がんに移行することがあるので注意が必要です。
なお、有棘細胞がんは、日光角化症から進展したり、熱傷瘢痕(ねっしょうはんこん)や外傷後瘢痕から生じることも多いがんです。皮膚がんでよく知られている悪性黒色腫(メラノーマ)に比べると、やや悪性度は低いですが、治療せず放置していると命にかかわることもあります。この有棘細胞がんも日本人に多い皮膚がんの一つです。
日光角化症の治療には、液体窒素で病変部を凍結し壊死させる方法や、局所麻酔して病変部をメスで切除する方法があります。このほか、「イミキモドクリーム」という軟膏を病変部に塗布するという外用療法もあります。
顔面や手の甲に赤いザラザラした皮疹(ひしん/皮膚の病変)、ウロコのようなかさついた、かさぶたができたときは、日光角化症の可能性があります。また、皮膚が淡い褐色から濃い褐色のまだら状にやや盛り上がっていることもあります。皮膚の表面にイボのような皮疹が見られる場合や、硬いツノのように盛り上がっている場合もあります。これらの症状が1~2週間たっても治らないときは注意が必要です。
なお、病変部が比較的大きく、ふぞろいな形で盛り上がり、表面がジュクジュクし、つまむとしこりに触れるような場合は有棘(ゆうきょく)細胞がんの可能性も考えられます。
日光角化症は自覚症状がほとんどないため、高齢者のいる家庭では家族が顔面や頭部、腕などをよくチェックしてあげることが大切です。皮膚に気になる皮疹や斑点が見つかったら皮膚科で診てもらいましょう。
日光角化症は、長年にわたって紫外線に当たることが原因だと考えられます。したがって、なるべく紫外線を浴びないことが効果的な予防法と考えられています。
特に、紫外線が強い5月から9月までは紫外線をできるだけ避けるようにすることが重要です。1日のうちでも、午前10時から午後4時頃までの時間帯は紫外線が強いので注意が必要です。
このような時期・時間に外出する際は、日焼け止めクリームやローションを使用するとともに、帽子などをかぶることをおすすめします。紫外線の中でもB波(UVB)の発がん性は明らかとなっているので、B波(UVB)を防御する機能の高い(SPF値の高い)サンスクリーン剤が有用です。
なお、日光角化症に一度でもかかったことがある人は、一見正常にみえる皮膚も紫外線のダメージをすでに受けているので、新たな病変が生じる可能性があります。
解説:中川 浩一
富田林病院
皮膚科部長
※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。