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関節痛 関節痛

関節は身体を動かすための組織で、それゆえに機械的な刺激を受けることが多く、炎症(関節炎)を起こしやすい部位です。関節炎が起こると、関節痛を感じます。原因としては感染、けが、アレルギー、代謝異常などが考えられます。

どんな原因で関節痛が起きているのかを知るには、痛む場所が単数か複数か、急性か慢性かがヒントになります。
1カ所だけ痛くて急性:痛風、けが(外傷)、感染
複数カ所が痛くて急性:細菌やウイルスの感染が多く、関節リウマチなどの膠原病の初期も
1カ所だけ痛くて慢性:変形性関節症が多い
複数カ所が痛くて慢性:内分泌疾患や、関節リウマチなどの膠原病の可能性

風邪を引いたときに関節痛が出るのは、多くの人に経験があるでしょう。風邪が治れば関節痛も自然になくなります。こういうパターンが「急性」です。一方、加齢により関節の軟骨が擦り減るなどすると、毎日のように痛みを感じます(変形性関節症)。これが「慢性」の関節痛です。

どんな人に、どんなときに現れるか

「年を取ると身体の節々が痛む」とよくいうように、関節痛に悩まされるのは高齢者が多いです。代表的なのは膝や股()の変形性関節症です。非常に多くみられる病気ですが、ロコモティブシンドロームを引き起こし、要介護状態になる原因としても多いので侮れません。

中年男性に多いのは痛風です。痛風は尿酸という物質が結晶になって関節にたまり、それが誘因となって炎症を起こすことで痛みを生じます。健康診断で尿酸値が高いといわれている人は注意が必要です。特に肥満のある人は尿酸値が高くなりやすいことが知られています。

中年女性は関節リウマチに注意が必要です。起床時から30分以上、手の関節が動かしにくくなっている(朝のこわばり)、服のボタン外しやハサミ、箸など細かい動きがしにくいと感じたときは、なるべく早く受診してください。早期診断・治療は病状の進行を抑えることにつながり、その後の生活の質を保つためにも重要です。

また、中年~高齢に比較すると頻度は低いものの、若い人でも治療が必要な関節痛(膠原病などによる)になることがあります。

強い関節痛がある場合には病院に駆け込む人がほとんどですが、それ以外の関節痛は我慢してしまう人が少なくありません。風邪や関節の使い過ぎによる関節痛なら、安静にしておけば12週間で治るでしょう。それよりも長く続くようなら、医療機関(整形外科)を受診してください。

どんな病気が関係しているか

「関節痛」の症状が現れる主な病気の中で、発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。病気についてさらに知りたい場合はリンク先をご参照ください。

症状とその特徴

説明

疑われる主な病気

・関節痛

・関節の腫れ

・関節の動かしにくさ

膝や股()の関節が加齢などによって変性し、痛みを生じる。高齢の肥満者に多い

変形性膝関節症

・関節痛

・関節の動かしにくさ

・筋力低下、持久力低下

運動器(関節や骨、筋肉など)の病気や機能低下により、要介護になるリスクが高い状態

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)

・関節痛(主に足指)

・発作時以外は無症状

尿酸値が高い状態が続くと発作が起こりやすくなる。男性に多い

痛風(高尿酸血症)

・関節痛

・関節の腫れ

発熱など風邪のような症状

関節の中に細菌が入り込み、化膿してしまった状態。早急な対応が必須

化膿性関節炎

・関節痛(左右対称、複数)

・朝のこわばり

・細かい作業がしにくい

免疫機能の異常により、身体中の関節に炎症が起こる。早期診断・治療が重要。膠原病の一種で、中年女性に多い

関節リウマチ

・関節痛(複数、場所が変わる)

・疲れやすい、だるい

・頬に赤い発疹(蝶の形)

・日光に当たると発疹

・脱毛、口内炎など

免疫機能の異常により、自分の細胞を攻撃してしまう。全身に多彩な症状が出る。膠原病の一種で、若い女性に多い

全身性エリテマトーデス(SLE)

チェックポイント

(1)次のような症状の有無を確認する

  • 痛みが起きている関節の場所
  • 痛みが起きている関節は、腫れているか、熱をもっているか
  • 関節痛はいつから始まったか、どれだけ続いているか
  • 関節痛は1日のうちで変化するか
  • どのような痛みを感じるか
  • そのほか、気になる症状はあるか(発熱発疹など)

(2)次のような環境を確認する

  • 関節痛によって生活にどれだけ支障があるか
  • 関節を酷使するような活動をしたか
  • 最近、関節部分にケガをしたり、手術・注射を受けたりしたか
  • 現在、患っている病気はあるか
  • 健康診断で指摘されていることがあるか
  • 飲んでいる薬やサプリメントの種類
  • 飲酒や喫煙の有無や頻度


泉 学

解説:泉 学
済生会宇都宮病院
内科系診療部長補佐・総合診療科 主任診療科長


※所属・役職は本ページ公開当時のものです。異動等により変わる場合もありますので、ご了承ください。

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